2011 Fiscal Year Research-status Report
ブリッジ結合磁路を利用した可変出力・磁気発振型正弦波出力インバータの開発
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23560314
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
岡沼 信一 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (40141866)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 磁気発振回路 / ブリッジ結合磁路 / インバータ / 系統連系装置 |
Research Abstract |
本研究では、磁気発振を利用した正弦波出力のインバータと、ブリッジ結合磁路と呼ばれる磁気応用素子を組み合わせて、直流の信号電流により、既存の交流系統に供給する電力が制御可能な可変出力・磁気発振型正弦波インバータを開発する。数値目標を、最大出力の制御範囲が4 kW以上で電力変換効率を92 %以上に設定した。この目標を達成するためには、磁気発振型正弦波出力インバータ本体の出力電力拡大と、本出力電力制御方式に最適なブリッジ結合磁路の設計にあると考えている。このため、初年度ではブリッジ結合磁路を除いた磁気発振型正弦波出力インバータ本体を製作して、その性能試験を行った。まず、コバルト系アモルファステープを特製のトロイダルボビンに巻いた磁心を2個製作し、一方を磁気発振用、他方をブリッジ結合磁路用とした。ブリッジ結合磁路はこのアモルファストロイダル磁心と市販のケイ素鋼板カットコアによるU形磁心を組み合わせて構成した。詳細な磁気特性測定の結果、磁気発振用磁心に適する角形ヒステリシス特性が得られていること、ブリッジ結合磁路では想定通り角形ヒステリシスを保持したまま最大磁束値が制御可能であることを確認した。次いで、この磁気発振用のアモルファストロイダル磁心を用いて、磁気発振型正弦波出力インバータ本体を製作し、その性能試験を行った。本インバータ本体では、各スイッチング素子(MOSFET)の外部に高速ダイオードを付加してMOSFETの内蔵ダイオードの逆回復特性が見かけ上改善されている。また、本インバータに加える交流電圧及び制御電流は、可変単巻変圧器を利用して生成し手動で調整した。なお、インバータ本体の設計は、研究実施計画にはなかったが、汎用電子回路シミュレーターを利用して行い、併せて次年度以降の設計製作での使用が想定されるブリッジ結合磁路の磁心モデルを考案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブリッジ結合磁路を除いた磁気発振型正弦波出力インバータの本体を製作して、その性能試験を行ったところ最大出力電力が3.2 kWで電力変換効率が90 %であった。当初目標の最大出力4 kW(電力変換効率が92 %以上)には達しなかったが、目標値のほぼ80%の値であり、おおむね順調に進展していると考えている。なお一方、この本体の出力電力拡大と電力変換効率の改善に、次年度の前半も継続する取り組む必要有りと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に行った、ブリッジ結合磁路を除いた磁気発振型正弦波出力インバータ本体の性能試験の結果が、当初目標の最大出力4 kW(電力変換効率が92 %以上)に達しなかったため、インバータ本体の出力電力拡大化についての検討を、次年度の前半に継続して行う。出力電力の拡大化の方策として、1)発振周波数を低く抑え、磁心磁気特性に起因する電流ノイズを低減させて安定な磁気発振の動作を維持させる、2)ノーマルモード或いはコモンモードフィルターを付加してスイッチングノイズを低減させる、3)MOSFETを並列接続して電流値を稼ぐ、などが考えられる。その後、研究実施計画に従い、市販の磁場解析ソフトを使用し、ブリッジ結合磁路の内部の磁場解析を行い、磁束制御特性を明らかにするとともに、本方式の正弦波出力インバータの出力電力制御に最適な寸法比及び巻線方式を決定する。最終年度には、初年度及び次年度の成果に基づいて、本方式の正弦波出力インバータを設計製作し、本研究の数値目標を達成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額28,850円は、初年度購入物品の見込額と実価格の差額であり、これを次年度の物品費と合わせて使用する予定である。次年度の物品費内訳は、磁性材料費を含む部品材料費及び磁場解析ソフト一式である。旅費を、国内の学会参加旅費として使用する。その他は磁心用のトロイダルボビン作製のために使用する予定である。
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Research Products
(2 results)