2012 Fiscal Year Research-status Report
ブリッジ結合磁路を利用した可変出力・磁気発振型正弦波出力インバータの開発
Project/Area Number |
23560314
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
岡沼 信一 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (40141866)
|
Keywords | 磁気発振回路 / ブリッジ結合磁路 / インバータ / 系統連系装置 |
Research Abstract |
本研究では、磁気発振を利用した正弦波出力のインバータと、磁気応用素子であるブリッジ結合磁路を組み合わせて、直流の信号電流により、既存の交流系統に供給する電力が制御可能な可変出力・磁気発振型正弦波インバータを開発する。 本年度は、まず初年度からの継続である、ブリッジ結合磁路を除いた磁気発振型正弦波出力インバータ本体の出力電力拡大ならびに電力変換効率の改善について検討を行った。その結果、コモンモードフィルターを交流系統側に接続することにより、スイッチングによる放射伝搬ノイズが減少することを明らかにした。試験結果では、出力電力が3.6 kW(電力変換効率90 %)と当初の数値目標4 kW超えることができなかったが、この方策が出力電力の拡大化に期待できることを明らかにした。 次いで、本インバータシステムに最適なブリッジ結合磁路の磁心材質及び形状を明らかにするため、市販の3次元磁場解析ソフトを用いて磁心内部及び外部の磁界分布を定量的に解析した。使用した磁場解析ソフトはJSOL社開発による電気機器の設計・開発のためのシミュレーションソフトウェアであるJMAGを使用した。しかし、この解析ソフトには、まだコバルト系アモルファスのモデルが存在していないため、磁心モデルとして軟磁性材料で異方性の指定が等方性であるJFEスチールを使用した。磁心構成、寸法及び巻線数、ならびに解析用のメッシュ長を種々変化させて、磁心内部及び外部の磁界分布を計算したところ、磁心寸法によっては磁心の一部に磁場が偏る領域が存在することなど、幾つかの新しい事項を明らかにすることができた。しかし、本インバータシステムに最適なブリッジ結合磁路についての知見はまだ得られていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交流系統電源との間に自作のコモンモードフィルターを接続した磁気発振型正弦波出力インバータを試作し、その性能試験を行ったところ最大出力電力が3.6 kWで電力変換効率が90 %であった。当初目標の最大出力4 kW(電力変換効率が92 %以上)には達しなかったが、目標値のほぼ90%の値であり、おおむね順調に進展していると考えている。 しかしながら、当初の計画にあった、本インバータシステムに最適なブリッジ結合磁路の磁心材質、形状及び寸法を明らかにするための、ブリッジ結合磁路の内部及び外部の3次元磁界分布解析については、幾つかの解析結果が得られたものの、最適なブリッジ結合磁路についての知見はまだ得られていない。このため、現在までの達成度を、やや遅れていると判断している。この3次元磁場解析ソフトを用いたブリッジ結合磁路の磁界解析については、次年度の前半も継続して取り組む必要があると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度及び本年度に行った、磁気発振型正弦波出力インバータ本体の性能試験の結果が、当初目標の最大出力4 kW(電力変換効率が92 %以上)に達しなかったため、インバータ本体の出力電力拡大化についての検討を、次年度の前半に継続して行う。出力電力の拡大化の方策として、1)発振周波数を低く抑え、磁心磁気特性に起因する電流ノイズを低減させて安定な磁気発振の動作を維持させる、2)MOSFETを並列接続して電流値を稼ぐことを試みる。さらに並行して、3次元磁場解析ソフトを用いた磁界解析を行って、最適なブリッジ結合磁路についての知見を得る。その後、研究実施計画に従い、本方式の正弦波出力インバータを設計製作して、研究の数値目標達成を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額850円は、昨年度購入物品の見込額と実価格の差額であり、これを次年度の物品費570,000円と合わせて使用する予定である。次年度の物品費内訳は、磁性材料費を含む部品材料費として370,850円、制御系解析ソフト一式として400,000円とする。旅費を100,000円とし、国内の学会参加旅費として使用する。その他の30,000円はブリッジ結合磁路のU形磁心作製及びトロイダル磁心のボビン作製のために使用する予定である。次年度は試作実験を行うため、旅費の当初予定額一部を試作のための消耗品費に充てる。
|
Research Products
(2 results)