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2011 Fiscal Year Research-status Report

磁気結合された高電圧スイッチングセルによる高繰り返しパルスパワーの発生

Research Project

Project/Area Number 23560316
Research InstitutionIbaraki University

Principal Investigator

柳平 丈志  茨城大学, 工学部, 准教授 (10323213)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywordsパルスパワー / パルス電源 / MOS-FET / マルクス回路 / 浄水処理
Research Abstract

気中または水中に含まれる環境汚染物質の分解処理において、効率的に化学活性種を発生するためのパルス放電プラズマの利用が近年盛んに研究されている。従来、高い酸化力と低環境負荷の両面から、オゾンが塩素に代わる酸化剤として高度水処理の分野に用いられているが、ダイオキシンなどの難分解物質は処理しにくかった。これらに対応できるOH(ヒドロキシル)ラジカル処理が注目されているが、ラジカル発生には数十キロボルトの高電圧パルス電源装置が必要である。本研究ではこの電源装置の性能を決めるスイッチング素子としてMOSトランジスタを多数用い、ナノ秒のオーダーで同期運転する新しい回路技術の開発を目的としている。 平成23年度には、数キロボルト程度までの電圧に対応するMOSトランジスタを1枚のプリント基板に収容し(以下、セルと呼ぶ)、複数のセルを直列に接続した回路により高電圧パルスを発生するエネルギー効率の良い回路方式について検討し、セル単体での動作性能を確認した。本方式の特長として高い繰り返し周波数で動作できることから、難分解物質の処理において高いスループットを可能にするものと期待できる。また立ち上がり時間は数ナノ秒程度であり、他のパワー半導体に比べエネルギー損失を低減できると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成23年度は当初計画していた(1)セルに対する電源供給方式および(2)多数のセルを同期運転するためのトリガ方式について検討した。さらに当初24年度に計画していた(3)大電流容量化の検討についても一部行った。 (1)については発生電圧での絶縁信頼性を考慮した結果、セルの端子には直流電圧が印加されないことが望ましく、直流高電圧を供給するのではなく、70 kHz の高周波磁界によりセル内のキャパシターに対して比較的低電圧に非接触充電する方法とした。このための装置を製作し直径22cmの送電ループコイルから15 cm x 15 cm のセル群に対して平均電力 560 W の電力を1秒間供給し、セル内にエネルギーを蓄積することが可能になった。これは当初計画の意図通りである。 (2)については絶縁耐力、遅延時間、ジッター、トリガ回路の消費電力、負荷駆動能力を検討した結果、個々のセルを外部トリガ源と磁気結合させ、トリガに従い一斉に各セル内のスイッチを導通させて各セルの起電力が合成されたパルスを出力する方式とした。この検討に基づき、高周波電源による磁界によってエネルギーが供給され、セル1枚の出力振幅 6 kV、最大電流 20 A、立ち上がり時間 30 ns、最大パルス幅 300 ns を出力するセルを製作した。当初計画では本年度に7枚程度の複数のセルを同時運転する計画であったが、本年度に製作したセルのトリガ回路に不備の点が見付かったため、今年度中には同時運転には至らなかった。 (3)については伝送線路トランスを用いてパルスエネルギーを合成できることを理論的、実験的に確認することが出来た。これは24年度に計画していた内容であるが、大学院生の協力により当初計画よりも早く目標の成果を得ることが出来た。

Strategy for Future Research Activity

平成24年度初頭にトリガ回路の一部修正を行い、複数セルの同期運転を早期に実現する必要がある。これについては既に大学院生の協力を得てプリント基板の修正に着手しており、解決できる見込みである。その後で当初計画通り、スイッチング損失、負荷特性について理論的・実験的に検討する。繰り返し周波数を次第に増加させトランジスタ、コンデンサの表面温度の変化を確認する。さらに電流容量の拡大を図り、水中でOH(ヒドロキシル)ラジカルを十分に生成可能なパルスパワー発生器とする。 平成25年度には当初計画通り、水中の難分解物質の処理に関する実験を行いたい。対象とする物質はフェノール、メチレンブルーを予定している。スループットおよび所要電力量を評価し、本処理の有用性について評価し、成果を学会発表および論文発表したい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成23年度については、パルス発生用セルのトランジスタの破損をわずかな個数にとどめることができたため、補修費用を抑えることができた。次年度に使用する研究費は、平成24年度に請求する研究費とあわせて、パルス発生用セルを新規に製作する際の、回路素子(MOS-FET, コンデンサ,ダイオード, プリント基板)の購入にあてる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012 2011

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] MOSトランジスタのパルス駆動における電流分担の改善に関する研究2012

    • Author(s)
      高木元、折原正人、山田務、柳平丈志
    • Journal Title

      電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌)

      Volume: Vol. 132 Pages: pp. 305-311

    • DOI

      10.1541/ieejfms.132.305

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] MOSトランジスタのパルス駆動における電流分担の改善に関する研究2011

    • Author(s)
      高木元、柳平丈志
    • Organizer
      平成23年 電気学会 基礎・材料・共通部門大会
    • Place of Presentation
      東京工業大学(東京都目黒区)
    • Year and Date
      2011 – 0921

URL: 

Published: 2013-07-10  

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