2012 Fiscal Year Research-status Report
高温超伝導回転機用巻線の交流損失低減手法とそれに基づく最適化設計の研究
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23560320
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
福井 聡 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70293199)
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Keywords | 高温超伝導コイル / 交流損失 / 高温超伝導回転機 |
Research Abstract |
本研究では,高温超伝導回転機の界磁巻線を構成する高温超伝導複合コイル系に主たる焦点を絞り,交流損失メカニズムに基づいた損失最小化設計手法の開発に特化した,(a) 高温超伝導巻線に発生する交流損失の評価法の確立,(b) 高温超伝導多極複合コイル系の低交流損失巻線構成の解明,(c) 高温超伝導多極複合コイル系の低交流損失化巻線構造設計法の明確化,に注力する研究を行う。 平成24年度の研究では,以下の成果を得た。 1. 高温超伝導多極複合コイル系の低交流損失巻線構成の解明 線材の交流損失データに基づいて高温超伝導コイルの交流損失特性を数値解析する理論モデルをベースに,回転機の界磁巻線の交流損失を解析する解析コードを開発した。これを用いて,12極及び16極構成の界磁コイルの最適化設計例(各要素コイルの断面形状・寸法・配置)を理論的に示すことができた。 2. 低損失化単一要素コイルの設計・試作と評価 理論解析モデルに基づき,交流損失を大幅に低減できる小型要素モデルコイルを設計・試作した。製作にあたっては巻線作業の容易さからBi線材を用いた。また,巻数が同じで交流損失低減構成を考慮していない構造のコイルも同時に試作した。前年度開発したパワーメータ法を用いてこれらのコイルの交流損失特性を測定にした。測定結果によれば,交流損失低減設計のコイルでは50%程度交流損失が低減できることがわかった。この結果により,本研究で提案する低損失コイルの設計手法の妥当性が検証できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で開発した交流損失低減手法に基づく小型コイルを設計・試作し,前年度開発した測定法により評価を行った結果,モデルから予想される損失低減効果を実証できた。また,高温超伝導線材を適用した回転機の界磁巻線の交流損失を理論解析するモデルを開発し,12極・16極の場合について,損失を最小化する界磁巻線構造のケーススタディーを行うことができた。よって,おおむね当初の計画通りに進行していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度試作した小型要素コイルは,巻線の容易さからBi線材を用いた円形コイルであった。次年度はY系線材を用いた小型レーストラックコイルを試作して,本研究で提案する損失低減手法の妥当性を検証する。また,交流損失を低減できる界磁巻線構造のケーススタディーをより詳細に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
交流損失低減効果のさらなる検証のために,Y系線材を購入する。
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