2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560331
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐久川 貴志 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (40398186)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Pulsed power |
Research Abstract |
・現在保有している高繰り返しパルスパワー発生装置は高繰り返しマイクロプラズマジェットや水中放電プラズマ生成に特化したものではない為、23年度は高繰り返しプラズマジェットの観察実験を通して高繰り返し放電プラズマジェット生成に必要なパルスパワー発生装置の最適パラメータの抽出を行った。プラズマジェットの伸長や分光器によるOHラジカル等の生成量を測定した。その結果、パルス電圧は10kV程度、パルスエネルギーは50mJ/pulse程度が最適値であることが判った。・上記結果を踏まえてマイクロプラズマジェット用の高繰り返し超小型パルスパワー発生装置を開発し、バイオ応用(大腸菌殺菌等)への適用を検討した。大腸菌殺菌についてはその有効性を確認することができた。また歯周病菌への可能性があることを確認した。・水源やダムにおける有害藍藻類(シアノバクテリアなど)の処理実験を行い。効率的に処理するため(電力対する処理量)のストリーマ状放電を高繰り返しで維持し、効果的にシアノバクテリアを処理するためのパルスパワー回路のパラメータ(パルスエネルギー、出力電圧、電圧立ち上がり時間、パルス幅、パルス繰り返し周波数等)を見いだした。パルスパワーの出力は30kV、5J/pulse、電圧立ち上がり200ns以下、10Hzで36平方メートルの湖面を約20分で処理できることが判った。・その他として高繰り返し(2000Hz)パルスパワー発生装置を用いた大気圧パルスストリーマ放電を応用してオゾン生成を行い、従来の無声放電式オゾナイザと比べ冷却装置を不要とするオゾン発生を達成した。オゾン生成効率も無声放電式の理論限界付近の80g/kWhが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的に対して下記理由で概ね順調に進展していると判断する。 気体(主に乾燥空気と酸素)や液体(主に水道水、河川水、純水)での高繰り返しパルス放電プラズマの挙動観察を行い、プラズマの制御因子(繰り返し周波数、媒質の導電率等)とプラズマの形態(ストリーマ状放電、グロー様放電、アーク放電、気泡内バリア放電)との関係をほぼ明らかにすることができた。導電率の高い水中では高繰り返しパルスパワーを印加するとプラズマの形態がストリーマから気泡内放電に変化する現象を実験的に発見した。 さらに応用研究として大腸菌に対しては水中アーク放電とマイクロプラズマジェットを用いて殺菌処理に成功し、かつパルスパワーの制御因子(繰り返し周波数と電圧)と処理結果の関係がほぼ把握できるようになった。 繰り返し水中ストリーマ状放電を用いて有害藍藻類(ミクロキスティス)を対象に、不活化処理実験を行い、細胞膜を破壊せずに効率的に不活化できることを確認した。 以上のパルスパワー応用成果について高繰り返しパルスパワー発生装置の放電プラズマ生成制御因子の最適値が判ってきた。それぞれの応用でその高い化学活性場を効率的に利用した殺菌処理や藍藻類の細胞不活化処理研究を通して新しいパルスパワーの環境改善・バイオ分野への応用展開の進展に寄与できる実験データが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
・パルスパワー発生の制御性を向上させるためにPICやFPGA等のマイクロプロセッサを制御回路の中に組み込みパルスパワー発生装置の高機能化(マイコンによるパワーデバイスのon/off制御)を計る。それにより、パルスの繰り返し周波数、発生タイミング、負荷状態のモニタリングを通したパルス出力(電圧)の制御などを行い、多様な環境改善応用に対応できるシステムの構築を進める。・バイオ応用放電負荷に対応する技術を構築する。上記技術同様PIC等の組み込み技術を用いることでソフトウェアによる書き換えで柔軟で繊細なバイオ系の制御パラメータの変更にマルチに対応できるシステムの構築を行う。併せてパルスパワー発生装置(磁気パルス圧縮回路等)による立ち上がり出力電圧の高速化、パルス幅制御を計る。・23年度に引き続き高繰り返し水中放電プラズマ観察を行う。・パルスパワー発生装置を水源やダムに持ち込みフィールドでの藍藻類処理実験を行う。・その他環境・バイオ応用(水質浄化や殺菌等)に対する有効性を検証し、処理装置の最適化を推し進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・研究費において残額(次年度使用額)が30727円であった。当該年度支給額の約1.3%で価格変動の範囲内に生じた金額と考え、次年度に電子部品などの消耗品購入に有効活用したい。・当初予定している研究経費については物品費(電気電子材料、磁性材料等)とその他(外注検査費等)で執行する予定である。
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