2011 Fiscal Year Research-status Report
フィボナッチ数列を基にした3次元太陽光発電モジュール構成法
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23560340
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
谷内 利明 東京理科大学, 工学部, 教授 (90349845)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 太陽光発電 / 太陽エネルギーの利用向上 / 再生可能エネルギー / 植物の葉序 |
Research Abstract |
太陽電池セル当たりの発電量を最大にする従来の太陽光発電モジュールに替えて、設置面積当たりの発電量を最大にする、すなわち太陽エネルギーを最大限に利用できるモジュール構成として3次元太陽光発電モジュールが期待されている。本研究では、フィボナッチ数列を基にした植物の葉序に倣った、樹木状に太陽電池セルを配置する3次元太陽光発電モジュール(Fibonacci Number Photovoltaic Module: FPM)を提案し、その発電特性を実証実験とシミュレーションにより明らかにしている。 本年度は、FPMを構成する太陽電池セル同士の影を考慮した発電量シミュレーション手法を確立し、FPMの形状・寸法等と発電特性との関係を明らかにして以下の結果を得た。(1) FPMを2段構成とすることで従来の平面太陽電池パネルに比較して設置面積当たりの発電量が約1.5倍になる。(2)1/3葉序FPMの発電量は、3/8葉序FPMに比較して影の影響が少ない。(3)3/8葉序FPMでは下段モジュールの発電量が上段モジュールの影により約20%減少する。(4)影による発電量の減少は太陽高度の高い夏季に顕著で最大約35%低下する。 また、実証実験では、長方形と正方形の単結晶Si太陽電池パネルおよび粒状Si太陽電池パネルを用いた3/8葉序疑似FPMを製作し、その発電特性の測定を開始して以下の結果を得た。(1)長方形太陽電池パネルの方が正方形パネルに比較して影の影響が少ない。(2)粒状Si太陽電池パネルは日射量の角度依存性が比較的小さく1日を通じて平均した発電量が得られる。(3)各FPM共に支柱の影の影響が顕著である。 上記の研究結果等については、学術論文1件、国際会議発表2件、国内学会発表3件で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FPMの実現に当たっては以下の技術課題を解決する必要がある。(1)FPMの葉序、形状、寸法、太陽電池セル間隔等と発電量との関係を体系的に明らかにすること。(2)FPMの設置においては、その段数や設置間隔等の最適化を図ると共に、上段と下段の太陽光スペクトルにあった太陽電池を選定し、いわゆるタンデム型モジュールを開発すること。(3)FPMを構成する各太陽電池セルの発電特性に応じた出力回路を開発すること。(4)支持材料や接続法等の実装条件を明らかにすること。 平成23年度は、当初計画通りに (1)、 (4)の課題に取り組み、上記研究実績の概要で述べたようにほぼ当初計画通りの結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、平成24年度は、開発した発電量シミュレーション手法を用いてFPMの各種実装条件と発電量の関係をさらに明らかにする。また、実証実験では、日射条件が各々異なる各太陽電池セルパネルに合わせた負荷条件に設定できる出力回路の開発を進めると共に、タンデム型モジュールの実現に向けてそのコンセプトの明確化を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画通り、Si太陽電池パネル等のFPMの構成材料、負荷モジュール等の測定機器、国際会議等の参加旅費、論文掲載料等の費用に使用する。
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