2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560341
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
岩尾 徹 東京都市大学, 工学部, 准教授 (80386359)
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Keywords | 真空アーク / 3R / 超高速分光計測 / 酸化膜除去 / 画像処理 |
Research Abstract |
本研究は,超高速で分光撮影が可能な超高速分光計測システム,並びに,本研究代表者が独自に開発中のPIPアルゴリズム(プラズマに特化した画像処理アルゴリズム)を用いて,真空アーク陰極点の酸化膜除去過程の解明を行うものである。 今年度は,「酸化膜厚さ変化時の酸化膜蒸発除去と電圧の解明」と題して,超高速ビデオカメラ,ビームスプリッター,バンドパスフィルターを組み合わせ独自に開発した超高速分光計測システムを開発した。まず,予備実験として,焦点,位置分解能,アークのゆらぎに関し実験を行った。また,アークの処理速度,処理面積,処理時の酸化膜の蒸発過程に関し,検討を進め,酸化膜の蒸発除去には,4つのモードがあることを明らかにした。さらに,これら画像処理を行う上では,アルゴリズムの精度の向上が必要なため,その検討も行った。具体的な実績は,以下の通りである。 真空アークは高速に動き回る性質があり,分光計測において酸化膜の蒸発除去時の分光データを測定することは極めて難しい。また,測定位置の特定が困難である。このため,新たにビームスプリッターとバンドパスフィルターを導入した。この結果,酸化膜を蒸発除去している時における,アークの処理速度,処理面積,処理時の酸化膜の蒸発粒子の特定を容易に行うことが可能となった。特に,酸化膜の蒸発除去には,酸化膜とバルクの境界における酸化膜蒸発,酸化膜とバルクの境界における停滞,分裂と消滅,バルク蒸発の,4つのモードがあることが判明した。 特に,ビームスプリッターにより,2波長の光を二次元で同時計測することが可能なった。このことから,従来,検討が難しかった,蒸発除去時のスペクトルを特定することができるようになったため,除去過程の解明に向け,大変大きな一歩となった。電圧のリップルに関しても電源の導入で解決しており,研究計画に照らし合わせて,おおむね順調に進展している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,「酸化膜厚さ変化時の酸化膜蒸発除去と電圧の解明」と題して,超高速ビデオカメラ,ビームスプリッター,バンドパスフィルターを組み合わせ独自に開発した超高速分光計測システムを開発した。まず,予備実験として,焦点,位置分解能,アークのゆらぎに関し実験を行った。また,アークの処理速度,処理面積,処理時の酸化膜の蒸発過程に関し,検討を進め,酸化膜の蒸発除去には,4つのモードがあることを明らかにした。さらに,これら画像処理を行う上では,アルゴリズムの精度の向上が必要なため,その検討も行った。具体的な実績は,以下の通りである。 現在までの予備実験として,分光器を用いて,陰極点による酸化膜の蒸発除去時に発生するスペクトルの測定を行い,Fe,Ar,O,C の原子やイオンのスペクトルを得ている。しかし,真空アークは高速に動き回る性質があり,分光計測において酸化膜の蒸発除去時の分光データを測定することは極めて難しい。また,測定位置の特定が困難である。このため,新たにビームスプリッターとバンドパスフィルターを導入した。 この結果,酸化膜を蒸発除去している時における,アークの処理速度,処理面積,処理時の酸化膜の蒸発粒子の特定を容易に行うことが可能となった。特に,酸化膜の蒸発除去には,酸化膜とバルクの境界における酸化膜蒸発モード,酸化膜とバルクの境界における停滞モード,分裂と消滅モード,バルク蒸発モードの,4つのモードがあることが判明した。 特に,大きな成果としては,ビームスプリッターにより,2波長の光を二次元で同時計測することが可能なった。このことから,従来,検討が難しかった,蒸発除去時のスペクトルを特定することができるようになったため,除去過程の解明に向け,大変大きな一歩となった。電圧のリップルに関しても,電源の導入で解決しており,研究計画に照らし合わせて,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,「酸化膜蒸発除去時のエネルギーと除去過程の解明」と題し研究を行う。今年度に行った「酸化膜厚さ変化時の酸化膜蒸発除去と電圧の解明」を基に,ビームスプリッターとバンドバスフィルター,並びに,研究代表者が独自に開発中の超高速分光計測システムを用いることにより,位置の特定と確実な酸化膜除去時のデータ取得を行う。 具体的には,2波長を2次元で同時計測したデータと,その時の電圧と電流を照らし合わせ,蒸発時のエネルギーバランスを解明することで,蒸発除去過程の解明を図る。また,これら実験結果を基に,酸化膜とバルクの伝熱シミュレーションを行い,酸化膜蒸発除去過程のモデル化を行うと共に,この仮定の物理的機構を検討と考察を行う。 以上,次年度は,最終年度であるため,陰極点のエネルギー密度と除去過程との相関を実験と理論の両面で検討し,物理的かつ定量的な除去過程の解明を図る。また,以上の結果を基に,研究の成果をまとめる予定である。 特に,成果は,国際会議や国内会議における発表,並びに,学会誌への投稿を通し,広く公開する。この際,本知見の新規性,有用性,創意性をアピールすると共に,他の研究者の研究の一助になるように工夫をする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,本研究課題の最終年度であるため,「酸化膜蒸発除去時のエネルギーと除去過程の解明」と題し,これまでの研究成果を基に,陰極点のエネルギー密度と除去過程との相関を実験と理論の両面で検討し,物理的かつ定量的な除去過程の解明を図る。また,以上の結果を基に,研究の成果をまとめる予定である。 研究費の使用計画としては,実験に使用する試験片やガスなどの消耗品を購入する予定である。また,TIGアーク溶接のシミュレーションで開発してきたプログラムを活用し,数値シミュレーションの研究を行うことから,PCの購入やソフトウエアの購入も行う予定である。さらに,本成果を,6月にアメリカで開催される国際会議や,8月の電気学会B部門大会,3月の電気学会全国大会で報告する予定であり,この際の旅費にも使用する予定である。また,本成果を学会誌に投稿する予定であり,投稿代金にも使用する予定である。 なお,研究を進める上で,物品費を27604円節約することができた。この27604円は,次年度の物品費に使用する。
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