2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23560341
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
岩尾 徹 東京都市大学, 工学部, 准教授 (80386359)
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Keywords | 真空アーク / 3R / 超高速分光計測 / 酸化膜除去 / 画像処理 |
Research Abstract |
本研究は,超高速で分光撮影が可能な超高速分光計測システム,並びに,本研究代表者が独自に開発中のPIPアルゴリズム(プラズマに特化した画像処理アルゴリズム)を用いて,真空アーク陰極点の酸化膜除去過程の解明を行うものである。 本年度は,「酸化膜蒸発除去時のエネルギーと除去過程の解明」と題した研究を行った。具体的には,ビームスプリッターとバンドバスフィルタ,並びに,研究代表者が独自に開発中の超高速分光計測システムを用いることにより,位置の特定や酸化膜除去時のスペクトルのデータ取得を行った。データ取得には,特定の波長を2次元で計測したデータと,その時の電圧と電流を照らし合わせ,蒸発時のエネルギーバランスの解明と,蒸発除去過程の解明を図った。また,これらの実験結果を基に,酸化膜とバルクの伝熱シミュレーションを行い,酸化膜蒸発除去過程のモデル化を行うと共に,この仮定の物理的機構に関し検討と考察を行った。特に,陰極点のエネルギー密度と除去過程との相関を実験と理論の両面で検討し,物理的かつ定量的な除去過程の解明を図った。 結果として,酸化膜除去時のエネルギーを推定することができた。また,酸化膜やバルクの蒸発は材料の比熱に大きく依存し,酸化膜やバルクの温度分布は熱伝導率に依存することがわかった。さらに,酸化膜は,陰極点高速な移動速度(滞在時間)で除去可能であることがわかり,陰極点の維持には適切な蒸気量の供給が必要であることが示唆される結果を得た。 以上より,前年度に分類した陰極点が酸化膜を蒸発除去するときの4つのモードに関し,この現象を物理的に説明することができた。このことは,超高速分光計測とPIPプログラム,並びに,今年度に開発した酸化膜とバルクの伝熱シミュレーションによるものである。以上より,本研究の最終年度として,満足する結果を得ることができた。
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