2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560347
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
上田 茂太 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (40390380)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 電気二重層コンデンサ / 充放電 |
Research Abstract |
電気二重層コンデンサを8個並列接続したまま低電圧で充電し、充電完了後に直列に接続を切り替え、8倍の電圧に充電された電気二重層コンデンサによる負荷への放電へ移行する。この回路をダイオード16個、スイッチ7個という簡素な部品で構成し、装置を製作して実験により動作モードごとに問題がないか検証した。今年度の目的である抵抗負荷での充放電回路の基本動作検証について達成できた。なおスイッチには当初、半導体リレーを使用することとしていたが放電時に電圧が零迄放電できず、4~5V程度残ることが判明し、充電エネルギーの有効利用という観点からは問題なので、機械式リレーを使用することにした。その結果、ほぼ零の0.4V程度まで放電でき動作上も問題がないことを確認した。具体的な結果を以下に述べる。1)並列充電モードにおいて、12Vの直流電源を用いて8個の電気二重層コンデンサの充電電圧が0.5%以内のばらつきで等しくなることを確認した。同様に交流電源(5V)を用いて充電を行い同様に0.5%以内のばらつきで均等な充電ができていることを確認した。充電終了後、各コンデンサの電圧がダイオードにより放電が阻止されて電圧がダイオード2個分の順方向電圧降下分だけ低い10.9Vに維持できていることを確認した。2)スイッチをオンし、コンデンサの端子間を相互に接続して8個のコンデンサを直列に接続して、合計電圧10.9Vの約8倍である87Vになることを確認した。3)抵抗負荷を接続し過電圧が発生せずに負荷を通してコンデンサの蓄積電荷が放電できることを確認した。全コンデンサが放電しきるまで放電を行い、放電後の残電圧としては8個で0.45V程度になった。4)一連の動作モードに必要な時間を計測した結果、並列充電時間1200秒、接続切替はほぼ瞬時、抵抗負荷放電時間600秒となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の理由から均等な充電と高い電圧からの放電ならびに簡易な回路での実現という目的に関する本年度分の成果は十分に得られたと考える。1)並列充電において、8個の電気二重層コンデンサの充電電圧のばらつきが0.5%以内という値は非常に小さな値である。電源電圧12Vに対して充電電圧が10.9Vはダイオード2個分の順方向電圧降下分にほぼ等しい値である。使用したコンデンサの定格電圧が15Vで余裕を考慮して12Vに設定したが、ばらつきが小さいことと併せて考えると充電電圧をさらに1V程度は高くできると考えられる。2)スイッチをオンし8個のコンデンサを直列にして合計電圧が10.9Vの約8倍である87Vになったのは計画通りである。3)負荷放電モードでの残電圧としては8個合計で0.45V程度になったが1個当たりでは0.06Vと非常に小さい。4)一連の動作時間は並列充電1200秒、負荷放電600秒であった。充電時間については、233F×8並列=1864Fという大容量のコンデンサとしては、通常電池では数時間オーダが必要であることに比べると非常に短時間である。放電時間については負荷抵抗値に依存する値である。5)電源接続と負荷接続のためのスイッチを除いた充放電に関する部分の回路をダイオード16個、スイッチ7個で実現したが、ダイオードは制御信号が不要であること、オンオフの外部信号は共通でよいことにより簡素化が図れている。また、放電時の残電圧対策で機械式リレーを利用したが、かえって半導体スイッチよりも効果的であったと考える。理由は、スイッチとしては双方向特性が必要なので半導体スイッチで実現するとさらに素子数が2倍になること、順方向電圧降下も2倍になり残電圧も2倍なることによる。機械式リレーは動作寿命が問題になるが、通常の動作寿命は10万回程度といわれているので提案回路のような使い方では特に問題にならない。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に製作した装置を活用して、モータ負荷にて一連の動作を確認する。1)直流モータを負荷として、充電からモータ駆動までのシーケンス回路を作製する。この場合、モータは無負荷運転とする。シーケンスとしては、充電モード、接続切替モード、負荷駆動モード、負荷駆動停止とする。なお、モータの回生運転によるブレーキモードでは電力をコンデンサへもどす必要がある。この時にはコンデンサが充電モードになるためやはり電圧アンバランスが生ずる可能性がある。このモードを考慮して負荷側スイッチを切り替えるが、スイッチに過電圧が発生しないことを確認する。2)コンデンサの充電時間、直並列切替モードの間、モータ起動から運転継続可能な時間を測定する。3)回生運転モードへの切り替え動作時に問題がないかを検証する。4)切り替え回路の損失を測定する。5)直流モータの負荷を定格負荷まで変化させと同様の測定を行う。特に、運転継続可能な時間がどのように変化するかを評価する。6)測定結果を利用してシーケンス回路に時間を設定する。7)一連の動作が、シーケンス通りに行われているかを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会に参加し発表や関連研究の情報を収集する。このための参加費用を予定している。また、実験データの記録等に必要な消耗品を購入する。
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