2011 Fiscal Year Research-status Report
巻線界磁に永久磁石を内蔵した高効率発電機の開発と評価
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23560348
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Research Institution | Kanazawa Technical College |
Principal Investigator |
直江 伸至 金沢工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (00249781)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 回転機 / 永久磁石 / 電力工学 / 電気機器工学 / 励磁 |
Research Abstract |
本研究の目的はエネルギー供給源としての発電機の効率を向上することで,エネルギー問題を解決することにある.その方向性に従って研究を実施している.試作機2台の実寸値および材料値を用いて半径方向磁束を計算するための2D有限要素モデルを作成した.本年度は軸方向を加えた3D有限要素モデルを巻線界磁・永久磁石界磁・巻線界磁の回転子を持つ回転子3分割型試作機の新たな3D解析モデルを構築した.3D解析モデルは現在使用して半径方向解析モデルデータを活用して構築したが,計算時間の短縮化を図るため軸方向で1/2にした.この3D解析モデルにより軸方向の磁束密度や損失が発生する部分の解析が可能となった.3D解析では永久磁石界磁と巻線界磁による回転子鉄心の磁束密度を計算し,その結果から損失を評価している.解析では回転子を3600rpmで反時計回りに回転させ,界磁巻線に0.6Aを流した.固定子には電機子抵抗および負荷抵抗を合わせて33Ωを接続した回路とし,機械角3deg,120ステップで計算を行った.解析結果は各磁路の磁束密度,電機子巻線の鎖交磁束,UVW相の電圧・電流,入力トルク,固定子・回転子のコアロス,永久磁石の渦電流損などを計算した.この結果を利用して効率を計算したところ96.7%となった.この値には機械損や固定子・回転子の銅損を含んでいないため,実際には数%程度が低い値となるが小型試作機では十分な値となった.今後,実機による実験で確認したいと考えている.また,試作実験機を用いて解析の妥当性を検証する必要があるため実験装置構成の検討も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的はエネルギー供給源としての発電機の効率を向上することで,エネルギー問題を解決することにある.そのため,従来の発電機の構成および構造を変更し,同期発電機の界磁巻線による磁束と永久磁石による磁束を回転子の軸方向で合成して励磁を得ることで高効率発電機の実現を目指している.平成23年度では従来の2D解析モデルに加えて3D解析モデルにより詳細な検討を始めた.解析結果は各磁路の磁束密度,電機子巻線の鎖交磁束,UVW相の電圧・電流,入力トルク,固定子・回転子のコアロス,永久磁石の渦電流損などを計算した.現在,解析は初期の3D解析モデルの構築とfirst passが終了したところであるが,機械損と銅損を除いてではあるが,高効率な結果が得られている.今後,実証実験による確認は必要であり,実験装置の再構築を行う.高効率発電機の開発として本年度の研究分担は,ほぼ所期の目的を達成していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
3D解析ではベクトルポテンシャルが容易に解析できないため,2D解析を用いてベクトルポテンシャルおよびインダクタンスを計算する.3D解析では1回の解析のために数時間から十数時間を要するため2D解析で実施できない軸方向解析や部分詳細解析を中心に実施する.平成23年度に実施した解析結果の考察や磁束密度分布などの詳細な検討がまだなされていないため,本年度の前半ではこの部分に注視して行う.後半では前半の結果を受けて磁石材料の変更や配置について検討を行うことで一定の成果がでると考えている.また,試作機による実証実験を行うために実験装置の準備を行う.現在は規約効率による方法を用いているが試作機の容量が小さいため,駆動機の影響が大きく現れ,効率が小さめに現れる傾向がある.そこでトルク検出器を取り付けることで実測効率を求め,その有効性を確認する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は予定をして学会発表および研究打ち合わせを実施しなかったためである.解析の事前準備に予想以上に時間を要しため,成果発表のタイミングとずれが生じた.平成24年度では平成23年度で得られた解析結果を学会発表する.さらに,平成24年度では試作機による実証実験を行うために実験設備を再構築する.以前購入した試作機に効率測定のためデジタルトルク検出計を購入して取り付ける.トルク検出計の購入に伴い,トルク検出計,試作機および駆動機を連結するために実験用ベッドを新たに製作する.現在駆動機には誘導電動機を使用しているが,過度応答に対応するためにインバータPM機セットも購入して,試作機に連結する.この装置の製作により解析結果の一部と検証することができるようになる.
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