2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560355
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池田 正二 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (90281865)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 磁気トンネル接合 |
Research Abstract |
磁気トンネル接合(MTJ)を利用した不揮発性デバイスは消費電力を低減可能なため注目されている。スピン注入磁化反転型のCoFeB/MgO垂直磁気異方性MTJは接合サイズの減少により書込み電流が低減でき、消費電力の低減が可能であることを我々は確認している。一方、記録保持性能を左右する熱安定性はこのMTJにおいて、40nm以上でほぼ40の一定値を示している。しかしながら、20~30nmスケールの微細な素子プロセスでは、レジスト流れ・レジスト倒れによる素子不良が顕著にみられ、再現性も悪いために、20~30nmスケールでの熱安定性の挙動に関し明確になっていない。このプロセス構築に至っていない一要因として、基板とレジストとの濡れ性(親水性・疎水性)が考えられ、このデータを蓄積しプロセスに反映することで素子歩留まりの向上が期待できる。その結果、20~30nmスケールでのMTJの評価が可能となり、熱安定性の知見を蓄積することで電極材料開発が加速される。H23年度は、30nm以下のレジストパターンを形成する際に、レジスト流れ・レジスト倒れの一因として考えられる基板の濡れ性を改善するために、HMDS(密着性向上塗布剤)での処理方法について検討した。また、レジストの濡れ性検討のために新規に接触角計を導入した。さらに、20~30nmスケールのCoFeB/MgO垂直磁気異方性MTJの熱安定性の調査に向けて磁気異方性のCoFeB組成依存性について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
30nm以下のレジストパターンを形成する際に,レジスト流れ・レジスト倒れさらにその再現性が問題となっていた。その一因としてレジストと基板との濡れ性が挙げられる.そこで,現行プロセスでのレジスト流れ・レジスト倒れ等の基礎データをSEM観察により蓄積し,さらに、レジストと基板との濡れ性を評価するために新規に接触角計を導入し・立ち上げを行うことを目的とした。まず、30 nm以下のレジストパターンを電子線描画を用い形成する際に、レジスト流れ・レジスト倒れの一因として考えられる基板の濡れ性を改善するために、HMDS(密着性向上塗布剤)での処理方法について検討した。HMDS雰囲気でレジストを基板にスピンコーターを用い塗布する方法とHMDSをスピンコーターで基板に塗布しその後レジストを塗布する方法でパターンを形成しSEM観察により比較した。その結果、HMDSをスピンコーターで直接基板に塗布する方法の方が微細なレジストパターンにおいて流れ・倒れが抑制されることが分かった。また、レジストの濡れ性検討のために新規に接触角計を導入し、今後のデータ蓄積のための準備を行った。さらに、20~30nmスケールのCoFeB/MgO垂直磁気異方性MTJの熱安定性の調査に向けてCoFeB磁性層のB組成依存性について検討した。CoFeB/MgOの垂直磁気異方性はCoFeBが1.5nm厚の時に実効磁気異方性エネルギーが最大となり、界面磁気異方性エネルギーと反磁界エネルギーの兼ね合いに起因していることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度に導入・立ち上げた接触角計と磁気異方性の知見を得たCoFeB/MgO積層膜を用い,CoFeB/MgO積層膜とレジストとの接触角を評価する.その後,レジスト流れ・レジスト倒れ低減に向け,EB描画により20~30nmスケールのレジストパターンを形成しレジスト流れ・レジスト倒れを観察し,接触角との関連性を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、20~30nmスケールのレジストパターンを形成するためのレジストや薬品の購入、材料・プロセス技術の情報収集のための学会参加費に使用することを予定している。
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