2011 Fiscal Year Research-status Report
広波長域偏波無依存な2光子吸収型全光スイッチへの3次非線形感受率テンソルの検討
Project/Area Number |
23560358
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂東 弘之 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 助教 (70298149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松末 俊夫 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 講師 (20209547)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 2光子吸収 / 全光スイッチ / 導波路型デバイス / 光非線形デバイス |
Research Abstract |
本年度は,広波長域にて2光子吸収特性の偏光依存性を測定出来るよう,測定系の改良を行った。ポンプ・プローブ測定系を利用し,アクロマティックなλ/2位相板およびλ/4位相板を導入した。これにより,波長域1200nm-1800nmにて2光の偏光状態を独立に変えられるようになった。そして,本予算にて購入したPEM(光弾性変調器)を利用し,広波長域にて微小な偏光状態変化の測定が可能な系を構築中である。測定試料として,(001)InP基板上に導波路構造をドライエッチングにより作製した。このエッチング面の粗さを定量的に評価する手法として,レーザー顕微鏡による表面粗さ評価の方法を複数組み合わせることを考案した。これにより,SEM観察による視覚的な定性的な評価を,レーザー顕微鏡による定量的な評価と対応づけることが可能となった。2光子吸収測定では,(001)InP基板の劈開面からスポット径約5μmφに集光したレーザー光を入射し,波長域1640nm-1800nmにて導波路およびバルクの測定を行った。2光子吸収特性は,入射光強度の変化に対する2光子吸収量の変化量である2光子吸収効率ηを導入し,評価を行った。その結果,導波路幅w = 6.9μmの導波路ではバルクに比べてηが約15%増加したが,w = 10.6μmではほぼバルクと同程度の効率であった。このことは,入射光を,伝搬によるビーム径の拡大を生じさせず光強度密度を弱めない工夫が,2光子吸収効率の向上に有効であることを示している。また,導波路長を 110μmから320μmまで変えたところ,バルクではηは約12%の増加であったが,導波路(w = 6.9μm)ではηは約80%増加した。このことは,伝搬に伴うビーム径の広がりを制限している導波路構造では相互作用長を長く取ることができ,デバイスとして2光子吸収の効率が増加することを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定した実験項目は予定通り遂行でき結果が出ているが,実験項目の1つである,2光の偏光状態を変えての2光子吸収測定は結果が出せていない。しかしその代わりに,来年度に予定していた導波路での2光子吸収特性の結果が出始めており,おおむね順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の予算が残ったのは,購入したPEM(光弾性変調器)が予定よりも安く購入できた事が主な理由である。今後の推進方策は,2光子吸収特性を1200nm-1600nmの広波長域にて測定すること,2光の偏光状態を組み合わせての2光子吸収測定をしていくことがある。そのために,光学測定系の改善と試料をMBE成長し導波路を作製していく。測定結果は,シミュレーション結果と比較していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試料作製のためのMBE装置をプログラム制御するためのPCおよびインターフェイス,真空機器の購入,およびMBE成長のための液体窒素などの消耗品の購入を予定している。光学測定用に,光学機器や素子などの消耗品の購入を予定している。また,学会参加に伴う旅費と学会参加費を予定している。
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Research Products
(3 results)