2012 Fiscal Year Research-status Report
広波長域偏波無依存な2光子吸収型全光スイッチへの3次非線形感受率テンソルの検討
Project/Area Number |
23560358
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂東 弘之 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 助教 (70298149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松末 俊夫 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 講師 (20209547)
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Keywords | 2光子吸収 / 全光スイッチ / 導波路型光デバイス / 光非線形デバイス |
Research Abstract |
本年度は,試料の3次の非線形感受率テンソルχ(3)の各成分の精度をあげるために,1光束系にて,λ/4位相板を回転させることで入射光の偏光状態を円偏光から楕円偏光,直線偏光へと連続的に変化させて2光子吸収係数βを測定する方法を考案し実験を行った。 今までは,χ(3)の値を得るためには2光束を利用し,それぞれの偏光方向を独立に変えることによるβの偏光方向依存性の結果から求める必要があった。そのため,試料中での2光の重なり量の見積もりに不確定な点があり,さらに2光とも偏光素子を回転させるために,その重なり量が一定とは限らなかった。そのために,χ(3)の精度は2桁が限界であった。 試料はInP(001)基板を使用し,波長は1640-1800nmにてχ(3)を求めた。入射光には,波長可変フェムト秒レーザーを使用し,直径5μmφに集光して試料に入射した。測定の際には,入射光の入射状態を試料の出射側から顕微系にて観察する必要があるが,この際に照明光として入射レーザー光を利用することで色収差による観察像の問題を解決でき,正しい入射光状態の設定が可能となった。これらの結果,今年度開発した測定系にて,χ(3)の各成分を3桁の精度にて求めることができた。 InPの(001)面での実験結果から求めたχ(3)の各値を使用し, (110)面および (111)面への入射時におけるβの偏光依存性を計算した。また実際に測定も行った。その結果, (110)面, (111)面のどちらの場合も計算値と実験結果とは非常に良く一致した。このことは,(100)面にて得られたχ(3)の各値および偏光依存性の計算方法が,共に適切であることを示している。 現在は,得られたχ(3)値と汎用物理シミュレーションソフトを用いて,導波路形状試料についての2光子吸収シミュレーションについての検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していたMBE成長はまだ良い試料が得られていないが,有効桁数3桁にてχ(3)を測定する方法,および得られたχ(3)の各値を用いての2光子吸収係数βの偏光状態依存性を計算する方法が確立できている。そして,得られたχ(3)を用いて,実現を目指しているデバイス形状である導波路構造での2光子吸収をシミュレーションする方法の検討も始まっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,MBEによる試料作製,およびβとχ(3)を1200nm-1600nmの広波長域にて測定し求めていく。そして,シミュレーション方法を確立し,実験結果と比較,検討をしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が0でないのは,旅費および学会参加費が校費にて支払うことができたためである。 今年度は,液体窒素や光学機器や素子などの消耗品の購入費用や学会参加費およびその旅費などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)