2013 Fiscal Year Annual Research Report
対向ターゲット式交互堆積反応性スパッタ法で硫化水素を用いた銅インジウム薄膜の作製
Project/Area Number |
23560361
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
坪井 望 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70217371)
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Keywords | 薄膜太陽電池 / カルコパイライト / スパッタ法 / 銅インジウム硫化物 |
Research Abstract |
Ar希釈CS2ガスに加えてAr希釈H2Sガスも供給可能に改造したCuとInの2組の対向ターゲット対及び基板回転機構を有するスパッタ装置を用いて,これまでのCS2による薄膜作製条件を参考にし,H2Sを用いてソーダライムガラス基板上でCuとInの交互スパッタ時間比(tCu/tIn)を変化させて薄膜を作製した。CS2の場合と同様に,大きなtCu/tIn比ではCuxS 異相XRDピークが現れるCu-rich薄膜が得られ,tCu/tIn比の減少に伴ってCuxS異相が抑制されてCuInS2のXRDピークのみの化学量論組成薄膜が得られた。しかしながら,さらにtCu/tIn比を減少させた際にはCS2の場合のようなCuIn5S8異相が現れるIn-rich薄膜は得られず,化学量論組成付近薄膜が得られた。これらの結果は,H2SはCS2と同様にCuInS2薄膜が作製可能なことを示しているものの,H2SはCS2に比較して反応性が劣っている可能性を示唆している。作製されたCuInS2薄膜は厚さ方向及び面内での組成均一性に優れていて,金属プレーカーサ膜の硫化法で作製されたCuInS2薄膜で報告されている硫化銅の表面析出現象は観られなかった。一方,窓層用の透明導電膜として,マグネトロンスパッタ法によりZnO:Al 薄膜の作製した。バッファー層として,反応性直流マグネトロンスパッタ法による無添加ZnO薄膜に加えて,ケミカルバス法によるZnS系層,InS系層,CdS系層の作製評価にも取り組んだ。これらの結果を踏まえてZnO:Al/ZnO/ZnS/CuInS2/Mo/glass 積層構造等の小面積セルの作製を試みたが,その電気的特性においてはまだ十分な整流性が得られておらず,プロセス温度を含む積層構造作製条件の最適化を進めることで,反応性ガス種の違いの効果がさらなる解明につながるものと期待される。
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Research Products
(3 results)