2011 Fiscal Year Research-status Report
光導波路分光・水晶振動子複合法によるナノ構造物性その場評価とデバイス高機能化
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23560362
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
新保 一成 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80272855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 暁 新潟大学, 研究推進機構超域学術院, 准教授 (80452077)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 水晶振動子 / 光導波路分光法 / 表面プラズモン / 複合センサ |
Research Abstract |
本研究では、水晶振動子微量天秤(QCM)法と光導波路分光法または表面プラズモン共鳴(SPR)法の複合センサを真空中、大気中、液中で用いるための測定系を構築するとともに、主に有機機能性薄膜の堆積過程のその場評価を試みた。 まず真空蒸着装置に光ファイバを導入することでQCM・導波路分光法複合センサ測定系を構築し、有機材料の真空蒸着薄膜堆積過程において膜厚と光吸収特性の関係を詳細に調べた。材料には有機太陽電池に有望である鉛フタロシアニンを用いており、この材料は蒸着レートや基板表面処理により異なる構造の会合体を形成し、それとともに光電変換効率が変わることが知られている。本研究の結果より、蒸着レートが小さい場合にはJ会合体が優先的に形成される様子が見られ、また膜厚が大きくなるにつれて会合体の形成が顕著になっており、基板との相互作用が推察された。なおH会合体の形成も観測され、偏光依存性から基板法線方向への配向が考えられた。さらに、膜厚が大きくなると膜厚増加により光吸収が減少したり、色素吸収の無い波長域でピークが生じるなど、特異な現象も見られた。これは導波路分光法特有のものであり、有機薄膜の膜厚が増加するとともに導波路上の電界分布が変わることによると推察された。これについて、理論計算から実験結果を矛盾無く説明するできることを明らかにした。 また本研究の複合センサによって、大気中における液晶分子蒸着膜や有機色素スプレー薄膜、水溶液中における色素電解質の交互吸着膜の堆積過程のその場評価も進めており、それぞれ分子凝集状態の膜厚依存性が明らかになってきている。さらに、QCMとSPR法の複合センサによるポリマー薄膜堆積と水蒸気検出を行った結果をまとめた論文を学術雑誌に投稿し、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
真空蒸着薄膜の堆積過程その場評価を行うシステムの構築は当初の予定通り進み、これを用いてまず鉛フタロシアニン(PbPc)薄膜の光学物性の測定を行うことができた。この材料について詳細な検討を行ったため、当初の計画であった2種の材料(銅フタロシアニン(CuPc)と酸化モリブデン(MoO3))の共蒸着薄膜の評価を行うまでには至らなかった。ただし、PbPc薄膜について光導波路分光法特有の光吸収ピークを見出すなど研究結果は十分得られてきている。また薄膜作製・測定系はほぼ構築できているため、鉛フタロシアニンの評価が終わりしだいCuPcとMoO3共蒸着膜の評価を行う予定である。この他については、特に遅れていることは無い。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したCuPcとMoO3の共蒸着薄膜について、当初の計画から遅れているため早急に準備し評価を行いたい。この共蒸着膜は、酸化性の材料である酸化バナジウムやHAT-CNなども用いて薄膜を作製する。同時にこの共蒸着膜を用いて有機トランジスタを構築し、複合センサによって得られた結果と対比しながら、トランジスタの高性能化に適した構造を見出していく。 液中測定に関しては、当初の予定通り電界重合や電気泳動法を組み合わせることで薄膜の膜厚や分子凝集構造を制御しつつ、複合センサによる評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が108,897円生じたが、このうち10万円ほどが支払い待ちであり、研究費はほぼ予定通りの額を使用している。平成24年度の予算は消耗品および旅費が大部分を占めている。消耗品については研究を進めるにあたって必要な有機材料や蒸着用金属、水晶基板、有機溶媒などを購入したい。旅費は研究発表に使用することを予定しており、平成24年6月に韓国における国際学会で本研究の内容について招待講演を予定しているほか、秋に応用物理学会などで発表を行いたい。このほかに、実験補助と論文投稿費をまかないたい。
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Research Products
(6 results)