2013 Fiscal Year Annual Research Report
逆プロトン交換を用いた縦波型リーキー弾性表面波の低損失化と高周波フィルタへの応用
Project/Area Number |
23560365
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
垣尾 省司 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (70242617)
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Keywords | 縦波型リーキー弾性表面波 / 低損失化 / 逆プロトン交換 |
Research Abstract |
縦波型リーキー弾性表面波(LLSAW)は,位相速度が速いSAW伝搬モードであるが,バルク波を基板内部に漏洩しながら伝搬するため,非常に大きな伝搬損失を有する.本研究ではこれまでにX-cut 36°Y LN 基板上に逆プロトン交換層を有する構造を設けることにより,LLSAW の伝搬損失の格段の低減に成功した.しかし,分極が面内に平行なため,圧電性回復領域が試料上のごく一部にしか現れないという問題点がある.昨年度の研究において,自発分極が表面に垂直に近い基板に逆プロトン交換法を用いて提案構造を形成すると,圧電性が十分に回復することを明らかにしたので,本年度は引き続き基板カット角の検討を行った.また,基板上に高音速の薄膜を装荷することでもLLSAWの低損失化を実現した.これらの研究成果を以下に示す. 1.基板カット角の検討:41°Yカット90°X伝搬LiNbO3を取り上げて,提案構造の理論解析を行った結果,逆プロトン交換層の深さがLLSAW波長の1/2付近のとき,伝搬減衰がゼロとなることがわかった.実際に提案構造を作製し,LLSAWの伝搬特性を評価した結果,3インチウエハ試料上全面に圧電性が回復した領域が形成されること,自由表面では0.1dB/波長以下の比較的小さい挿入損失が得られることを明らかにした. 2.高音速薄膜装荷による低損失化:高音速薄膜材料として窒化アルミニウム(AlN)に着目し,理論解析によりゼロ伝搬減衰が得られることを明らかにした.Xカット36°Y伝搬LiNbO3上にアモルファスAlN薄膜を装荷し提案構造を作製,LLSAWの伝搬特性を評価した結果,膜厚が0.25波長のとき,伝搬損失が未装荷の場合の1/10に低減(0.03dB/波長)し,挿入損失が30 dBも格段に減少することを明らかにした.
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Research Products
(6 results)