2012 Fiscal Year Research-status Report
製造コスト50円/Wをめざした色素増感太陽電池の開発
Project/Area Number |
23560368
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
白土 竜一 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10216195)
|
Keywords | 色素増感太陽電池 / カーボン対極 / 集電電極 / 量産化技術 / 高効率化技術 / タンデム太陽電池 |
Research Abstract |
本研究は、製造コストを50円/Wをめざした色素増感太陽電池開発を行うものである。具体的な取り組みとしては、作用極では、低コストで高効率を導く膜構造の開発であり、対極では、白金をカーボンに転換する技術の開発である。前年度は、カーボンブラックと活性炭の混合割合を検討して、白金と同等の特性を持つ対極の開発を実施した。これを受けて、平成24年度は、対極の面積を拡大するとともに、安定に成膜ができるスクリーンプリント法のためのペースト開発により、25mm角セルのカーボン対極を製膜し、さらにスクリーンプリント法による集電電極を持つ対極を作製した。短絡電流密度15mA/cm2、開放電圧733mV、FF 0.728、効率 8.44%のセルが得られた。白金対極セルの効率8.62%に近い値のものを得ることができた。作用極側は、多孔質チタニア膜の膜構造を安価な材料を使い構造を制御することにより、高効率化する技術開発を5mm角のセルにて試みた。チタニア多孔質膜は、透明導電膜付きのガラス基板上に、チタニアペーストを積層して形成するが、その厚みは、20μm程度までは、効率の上昇がみられるが、それよりも厚くなると効率は低下する。この低下の原因をつきとめるとともに、解決策を提案した。セルのインピーダンス評価の結果、その原因は、電荷移動の阻害による抵抗の増加によるものであった。その解決策として、多孔質膜のトップ層に、安価な材料で空隙を形成するために、酸化亜鉛の微粒子を添加したペーストの塗布とその焼成後に硝酸により酸化亜鉛を除去することで、空隙を作製する技術開発をおこなった。その結果、5mm角で、変換効率9.8%まで効率を高めることができた。基板の大型化に対しては、色素増感太陽電池は電解液を使用するために、セルの封し技術が重要であるので、その検討を行った。研究使用に必要な20日程度の安定性を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セルの大型化に対して、対極については、カーボン対極とグリッド配線の技術開発がほぼ完了した。作用極に対しては、対極同様、グリッド配線を持つ基板として、チタニア多孔質膜の空隙の調整を、酸化亜鉛微粒子を使って行う方法を開発した。セル面積のソーラーシミュレータの照射面積が50mm角がmaxなので、セルの大型化については、50mm角とすることとして、研究をすすめることにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度、透明導電膜を使用しないセル構造の研究から、作用電極、対極とその間の電解液がどのような状態であれば、ベストの動作が得られるかについての知見が得られた。今年度は、これをヒントとして、通常のセル構造の改良に応用した。作用極のトップ層の電荷移動抵抗の低減化技術を調べ、その低コストの製造方法を提案し、5mm角であるが、高効率化を達成することができた。次年度は、開発した多孔質の構造に対して、色素の塗り分け技術を使い、タンデム化を実施する。これら開発した技術を集積して、50mm角のセルでの高効率化をめざす。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
電池の製造設備と評価装置はあるが、色素の評価に使用する分光光度計が購入から10年がたち部品交換が必要なため、そのメンテナンス費用にかなりの額を使用する予定である。残りの費用で必要な薬品や消耗品などの購入に使用したい。
|