2013 Fiscal Year Annual Research Report
製造コスト50円/Wをめざした色素増感太陽電池の開発
Project/Area Number |
23560368
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
白土 竜一 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10216195)
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Keywords | 太陽電池 / 色素増感太陽電池 / カーボン対極 / 白金対極 / チタニア / 多孔質膜 / インピーダンス測定 / イオン拡散抵抗 |
Research Abstract |
本研究は、色素増感太陽電池を構成する電極を製造する際に、低コストで高効率を維持できる技術の開発を行うものである。具体的な取り組みとして、作用極では、平成23年度から24年度において、作用極のチタニア膜中に空隙を導入することが、効率の改善に有効であることを確認した。平成25年度は、その膜中の構造を制御して、膜の垂直方向の空隙の割合を変えた。さらに、セルのインピーダンス測定により、膜構造の違いによるインピーダンスデータへの影響が確認できたので、光電変換効率の結果を含め検討した。その結果、通常のチタニア膜中のイオン拡散抵抗は、膜のないところのイオン拡散抵抗よりも二倍ほど大きいことがわかった。空隙の導入は、イオン拡散抵抗の低下に効果があるが、色素の吸着量が低下してしまうために、導入には最適な割合があることがわかる。多孔質チタニアのトータルの膜厚を25μmとしたとき、通常のチタニア膜を10μm製膜。その上に空隙割合の高い層を5μm積層。さらに、空隙割合を前記層の半分にした膜を5μm積層。その上に、空隙割合の高い層を5μm積層して、作用極とした。その結果、通常のチタニア膜のみのセルよりも効率で6.7%程度改善することができた。対極に対しては、平成23年度は、カーボンブラックと活性炭の混合割合を検討し、白金と同等の特性を持つ対極の開発を実施した。平成24年度は、対極の面積を拡大するためスクリーンプリント法で用いるペーストの開発を実施。効率 8%を超えるセルが得られた。25年度は、空隙を導入した作用極の開発により、作用極側のパフォーマンスが向上したため、対極で起こる反応がカーボン単体のセルで律速となることが懸念されたため、カーボン対極の上に、スパッタ法により白金を堆積した電極を作製した。空隙を持つ作用極とカーボン対極とで構成したセルも作製し、どちらも10%程度の光電変換効率が達成できた。
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