2012 Fiscal Year Research-status Report
化合物半導体のヘテロ成長及びナノ構造の作製に関する研究
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23560369
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
郭 其新 佐賀大学, シンクロトロン光応用研究センター, 教授 (60243995)
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Keywords | 化合物 / 半導体 / ヘテロ成長 / バンドオフセット |
Research Abstract |
ZnTeは、閃亜鉛鉱構造を有しており、直接遷移型のバンド構造を持ち、バンドギャップが2.26eVであり、波長に換算すると約550nmと純緑色に相当すること、融点が1295℃と比較的低いためGaPやInGaNよりもはるかに容易にバルク結晶を作製できることから、従来よりも優れた高輝度純緑色発光ダイオード用の材料として期待されている。さらに、キャリアと光を閉じ込めることが可能なダブルヘテロ構造を形成できる可能性も指摘されており、現在実用化されていない緑色レーザーダイオードの有力な材料として期待できる。本研究では、n型ZnO/p型ZnTeのヘテロエピタキシャル成長特性の解明を目的としている。 平成24年度は、n型ZnO基板上に有機金属気相成長法を用いて、ZnTeの薄膜成長を行った。作製された膜について、X線回折、X線ロッキングカーブ、ラマン分光法、フォトルミネッセンス法により評価した結果、p型のZnTe(111)のエピタキシャル膜が得られていることが明らかとなった。また、得られたヘテロ接合の電圧電流特性を測定し、ダイオードの整流特性が観測された。さらに、シンクロトロン光光電子分光法を用いて、ヘテロ接合のバンドオフセットの測定に成功した。これらの研究成果は、国際学術論文誌Applied Physics Letters, Japanese Journal of Applied Physicsに公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、ポーラスアルミナマスクを用いて、ナノ構造を作製する予定であったが、実験設備が置かれている建物の改修工事が行われたことにより、データの取得等が平成25年度で行うことになっている。それ以外の研究に関しては、計画通り、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
p型のZnTe基板上に、レーザー分子線エピタキシャル法を用いて、n型ZnOの薄膜を成長させ、作製されたヘテロ接合の電気特性、発光スペクトル及びドーピング状態について調べる。得られた基礎データから、異族半導体接合特有の現象を見出すと共に半導体の成長過程に関する議論を行い、本研究で提案された方法による異族化合物半導体の作製法の有用性を明らかにする。得られた研究成果は、国際会議で発表し、国際的に評価が高い学術論文誌に公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
薄膜を作製する際、KrFエキシマレーザー用ガス、高純度酸素ガス、洗浄用薬品、ターゲット、冷媒及びガスケット等の真空部品が必要とされるため、これらを消耗品として購入する。また、研究成果発表のため、旅費及び論文投稿料として使用する。
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