2013 Fiscal Year Annual Research Report
有機EL素子作製用低ダメージ高速スパッタ成膜プロセスの開発
Project/Area Number |
23560374
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
星 陽一 東京工芸大学, 工学部, 教授 (20108228)
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Keywords | 有機EL素子 / 低ダメージスパッタ / 上部電極膜 / 対向ターゲット式スパッタ / 仕事関数 / 高エネルギー粒子 / 斜め入射堆積 / 網マスク |
Research Abstract |
本研究では、有機EL素子の上部電極膜を有機EL素子の動作特性を劣化させること無しにスパッタ法で形成する技術を開発することを目的としている。今年度は、昨年度に引き続き有機膜へのダメージを抑制できることが確認された対向ターゲット式スパッタ源を利用して有機EL素子の上部電極を作製することで、スパッタ成膜時に有機層界面に与える影響を調べるとともに、上部電極膜の作製方法として有望と考えられる斜め入射堆積法による成膜法についても検討した。 その結果、①対向ターゲット式スパッタ法を用いて電極膜を作製することで、発光する有機EL素子が実現できるものの、蒸着法で作製する場合に比べると電子注入障壁が増加すること。②素子の動作特性は電極膜作製時の成膜条件、特にスパッタガス圧に強く依存し、8mTorr付近で最も良好な素子がえられること、③得られた素子の発光開始電圧は、蒸着法で電極膜を作製した素子に比べてやや高いものの、電流発光特性はより良好であることが分かった。さらに④基板表面付近に網マスクを挿入して電極膜を作製するとマスクの影の影響を強く受けることから、スパッタ成膜中に生成される高エネルギー粒子が影響を与えている可能性を示唆する結果が得られた。しかし高エネルギー粒子の入射を抑制するためにガス圧を15mTorr以上にすると反って電子注入障壁が大きく増加してしまい、この理由についてはまだ明確な答えが得られていない。⑤斜め入射堆積法は電極膜の屈折率を顕著に減少させることができるために、電極界面での反射を減らして効率の良い光取り出しが実現できることは確認できたものの、キャリア注入特性への影響については今後さらに検討が必要である。
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