2011 Fiscal Year Research-status Report
核融合炉用次世代高耐ひずみ超伝導線材に向けた設計指針
Project/Area Number |
23560379
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
伴野 信哉 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (30354301)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Nb3Al / TEM |
Research Abstract |
ITER 核融合実験炉での採用が決定しているNb3Sn 線材は、ひずみ感受性が高くより大きな電磁力にさらされる実証炉ではもはや対応できないと言われている。一方同じA15 型結晶構造でありながらNb3Al 線材の耐ひずみ特性は格段に優れ、0.4%のひずみに対しNb3Sn 線材の電流輸送特性が30%以上低下するのに対しNb3Al では低下は約10%である。その要因には化学量論性の違い、結晶粒間のコネクティビティーなどが考えられているが、明確な結論はまだ出ていない。そこで本研究ではひずみ特性の優れたNb3Al 線材の化学量論性・ナノレベルの微細組織を詳細に調査し、次世代の高耐ひずみ超伝導線材の開発につながる新しい知見を求めることを目的とする。 本年度は急熱急冷・変態法Nb3Al線材に関して、急熱急冷条件、Nb-Al 過飽和固溶体相への塑性加工条件、Nb3Al相変態熱処理条件を制御して、結晶粒サイズや組成ゆらぎ、板状欠陥密度を変化させた種々の試験線材をまず作製した。これら試験線材の中から特徴的なサンプルを選定し、透過電子顕微鏡(TEM)によってさらにナノレベルでの組織観察を行い、板状欠陥の析出の態様・密度・ミクロでの組成変化を調査した。 その結果、高温特性の優れるNb3Alの場合には、板状欠陥密度が低いことがわかった。しかしながら、低磁界での臨界電流密度が低い。これに対し、板状欠陥密度の高い試料は、臨界磁場が低下するものの、低磁界側でも優れた臨界電流密度特性を持つことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TEMによるナノスケール微細組織観察を予定通り行った。これにより、相変態を経由したNb3Alの板状欠陥密度や間隔などを系統的に調べることができた。特に板状欠陥密度を様々な試料で観察したことは、Nb3Al線材の臨界電流密度やそのほかの特性を理解する上で、非常に有意義であった。今後、磁束ピンニング特性との相関について十分な調査を実施し理解するために、引き続き組織観察をすることが重要であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
TEMによるナノスケール観察に加えて、EBSDによるマクロな結晶組織(結晶粒サイズ、結晶方位など)の観察を行う。これらの線材の臨界電流測定を行い、ピンニングメカニズムについて考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、線材試作費と組織観察に使用する。
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Research Products
(3 results)