2012 Fiscal Year Research-status Report
3次元ベクトル有限要素ビーム伝搬法による光回路のトポロジー最適設計に関する研究
Project/Area Number |
23560382
|
Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻 寧英 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70285518)
|
Keywords | 光導波路 / 最適設計 / 有限要素法 / ビーム伝搬法 |
Research Abstract |
光通信の高速大容量化および柔軟な光ネットワークの構築に不可欠な光デバイスの高性能化を目指して、光導波路デバイスの最適設計法についての検討を行った。これまでの光導波路の設計は、既存のデバイス構造の改良であるなど過去の経験によるところが大きいが、本研究では要求されるデバイス特性を実現する光導波路構造を自動的に生成させることを目指している。 前年度に続き、最適化構造を数値パラメータで表すための関数展開法についてさらに検討を行い、基底関数として従来から用いていたフーリエ級数の他に標本化関数、四角錐関数などのより局所化した関数についての検討を行った。基底関数としてフーリエ級数を用いた場合には最適化領域全体を同時に更新していくため特性は優れているものの構造が複雑化するという問題があったが、局所化した関数を用いることで比較的単純な構造で目的の特性を実現するデバイスを設計できることを、3波長分離素子の設計例を通して示した。また、構造単純化フィルターを用いることで、最終的な最適化構造をさらに簡単化できることをスローライトデバイスの設計を通して示した。さらに、関数展開法による最適化パラメータを遺伝的アルゴリズムを用いて最適化する方法についても検討を行い、より大域的な解の探索の可能性についても示した。 最適化手法の検討に加えて3次元光導波路の有限要素法解析の高速化・高精度化についても検討を行い、コア部に楕円空孔を挿入したハニカム格子フォトニック結晶ファイバのような複雑な断面形状を有する絶対単一偏波伝送光ファイバの設計を行い有限要素ビーム伝搬法によりその動作特性を検証している。また、分岐素子などのいくつかの光デバイスについて3次元構造としてのトポロジー最適設計を行い、その有用性を確認している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画のうち、最適化領域内の屈折率分布の表現法と最適設計法についてさらに検討を進め、実際の作製を考え、より単純な構造で目的の特性を実現する方法についての知見を得た。また、探索アルゴリズムについてもより早く目的の解に漸近させるための探索法、より大域的な最適解を探索するための探索法についての検討を行い、今後の改良につながるある程度の知見を得た。これらを組み合わせてより大域的な最適解をより早く探索できる方法についても現在検討を進めている。また、3次元構造としての光デバイスの設計についても検討を進め、具体的な設計例を示している。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討で、過去の知識に頼らずに目的の特性を持った光デバイスを自動最適設計するための基礎的な部分に関する知見を得たので、今後は特に3次元光デバイスの最適設計も含めてより柔軟で高速な最適設計について検討する。遺伝的アルゴリズムと感度解析に基づく山登り探索を組み合わせたハイブリッド最適化法の検討も行う。また、計算の効率化を考えた3次元構造に対する有限要素メッシュの生成についても検討を行う。さらに、これらの結果を基に、光通信システムで必要とされる光デバイスの設計を行っていく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
出張旅費を、本研究で得られた成果を学会において報告するため、および調査研究のために計上している、また、物品費を計算資源確保のための計算機の購入とデータ整理のための消耗物品の購入のために計上している。今年度の残額は、より大規模な3次元光導波路の解析・設計のため、次年度の予算と合わせて大容量メモリを搭載した計算機の購入に使用する予定である。
|
Research Products
(20 results)