2013 Fiscal Year Annual Research Report
低消費電力スピン制御デバイス用低スピンダンピング磁性材料の探索
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23560384
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 豊 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (00260456)
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Keywords | スピントロニクス / 磁気記録 / 強磁性共鳴 / 磁気緩和係数 / 3d強磁性遷移金属 / rfマグネトロンスパッタリング |
Research Abstract |
磁性薄膜の磁気緩和係数(Gilbert緩和係数 alpha)の物理的起源を明らかにするために、3d遷移金属であるFe薄膜に同じ3d遷移金属であるCoおよびNiを微量添加して、磁気緩和係数を測定した。 理論的に磁気緩和は室温付近では電子の散乱頻度(緩和時間の逆)に比例すると考えられるので、他種の原子が微量添加されることによる結晶欠陥の増加および合金散乱により電子の散乱頻度が上昇して磁気緩和係数の増加につながると予想される。このメカニズムを確認するために(1)成膜プロセスの変更による膜質の向上(2)成膜後アニーリングによる結晶状態の向上、という2つの電子散乱頻度を低下させる手法を適用して磁気緩和係数の変化を検討した。このためにFe(1-x)Co(x)系でx <0.11、膜厚100 nmおよび12 nmの薄膜を作製した。100 nm試料のX線回折ピークはアニーリングにより先鋭化することが示され、結晶状態は改善していると考えられる。いずれの膜厚でも飽和磁化の大きさはほぼスレータ・ポーリング曲線に従ってCo組成に従って増加しており良好な磁気特性を示した。また成膜プロセスの向上とアニーリングという2つのステップで膜の結晶状態が向上するにつれてぞれぞれの組成で磁気緩和係数は低下した。これは電子散乱頻度と磁気緩和の間に密接な関連があることを示している。 もう一つ磁気緩和係数に寄与する要素としてスピン軌道相互作用(SOI)が指摘されている。そこでCoよりもSOIの大きいNiを添加した系を測定するために Fe(1-x)Ni(x)系でx <0.13、膜厚100, 12, 6 nmの薄膜を作製した。膜厚6 nmと12 nmの試料で磁気緩和係数を測定したがいずれの組成でもFeCo系と比較して有意の差は認められなかった。3d遷移金属系ではSOIの影響は磁気緩和係数に明瞭には現れないようである。
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