2011 Fiscal Year Research-status Report
生産性と光学特性に秀でたチューナブル波長選択フィルタチップの開発
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23560385
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
依田 秀彦 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30312862)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 光波長フィルタ / 光デバイス |
Research Abstract |
(1)温度制御型チューナブルフィルタ■チューナブル波長選択フィルタチップの応答特性と消費電力特性を改善するため、消費電力0.2W以下、応答速度改善1秒以下の目標を設定して研究に取り組んだ。■応答及消費電力特性を改善するためにフィルタチップ基板を薄型化したい。逆に基板強度を保持するために基板を薄型化できない。そこでフィルタチップ基板に新しく局部薄型加工することを試みた。(i)超音波ドリル、(ii)砥粒及び回転研磨冶具、(iii)化学エッチング、を併用して加工を行い、石英ガラス基板に井戸型の穴(直径1.5mm、残り厚0.005mm)を形成した。■続いて局部薄型加工を施したフィルタチップの特性評価実験を行った。応答速度及び消費電力のいずれも局部加工前と比べると約半分にまで改善できた。■応答速度は0.9秒(波長シフト+5nm時)となり、目標を達成した。■消費電力は0.87W(波長シフト+30nm時)となり、目標(0.2W以下)を達成するに至らなかった。目標未達成の原因はフィルタ加熱用ヒータ膜の形状にあると推測し、次年度にその解決を試みる。(2)電圧制御型チューナブルフィルタ■チューナブル波長選択フィルタの試作を行うべく、作製技術の検討に取り組んだ。まずスピンコート法と高温熱処理によって基板上にEO結晶薄膜を形成できるか確認するため、薄膜形成とXRD結晶分析を行ったが、結晶化を確認できなかった。続いて"高速"高温熱処理に変更して薄膜形成と結晶分析を行い、(目的のペロブスカイト型結晶でなく)パイロクロア型結晶の形成を確認した。■実験的検討を通じて、良質なEO結晶薄膜を形成するには作製条件の知見が必要なことが判明したので、以降「文献調査による検討」「良質なEO結晶薄膜の形成に必要な装置準備」を実施した。■次年度に実験的検討を引き続き行い、フィルタ試作を行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)温度制御型フィルタに関して:特性は一部目標に達しなかったものの、作製や実験は着実に進めることができている。(2)電圧制御型フィルタに関して:作製技術の実験的検討を行い、当初の検討段階で作製に必要な知見が不十分であることがわかった。そこで実験的検討を一時中断して、「文献調査による検討」「良質なEO結晶薄膜を形成するための装置準備」に多くの時間を費やした。今年度は十分な実験的検討とプロトタイプ試作を行うに至らず、今年度(H23)の目標を達成していないが、次年度(H24)に継続して実験していきたい。なおH25年度をH23-24年度に生じた問題解決期間に充てており、少しの計画変更は計画全体の問題にはならない。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)温度制御型チューナブルフィルタ■(1)光学モニタ系精度向上とフィルタ成膜実験:不要な反射損失の低減を目的として、フィルタ分光モニタの新規導入および成膜制御VBプログラムの改良(半自動化)を行い、成膜技術の向上を図る。■(2)局部薄型化による消費電力低減:消費電力を0.2W以下にするため、ヒータ膜材料およびヒータ膜形状を変更し、フィルタの光透過部を直接的に加熱することを試みる。■(3)透明ヒータ膜最適化の検討:不要な吸収損失の低減を目的として、pc-Si:B薄膜のボロン含有量と光学特性の関係を実験的に検討する。■なお当初H24年度に計画していた「多キャビティ化」の一部をH25年度に延期する。(2)電圧制御型チューナブルフィルタ■(1)作製技術の検討:EO薄膜について、作製条件の実験的検討(基板,Seed層,加熱条件)と特性評価実験(結晶性,吸収特性,光学特性)を行う。誘電体ミラー材料,電極材料について、作製条件の実験的検討(結晶性への影響,耐熱性,光学特性)とフォトリソによるパターニングを行う。■(2)プロトタイプの試作:1キャビティ構造のプロトタイプを試作する。作製しやすさを優先し、光学特性の設計仕様はゆるめに設定する。チューナブルフィルタとしての光学特性と応答特性を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・H23年度にスパッタ成膜装置の真空ポンプが故障したため、H24年度に油拡散ポンプを購入する。・成膜制御VBプログラムの改良(半自動化)のために、リモート制御可能な電圧源を2台購入する。・実験的な試行錯誤が多数必要となるため、消耗品に予算の大半を充てる。
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Research Products
(2 results)