2012 Fiscal Year Research-status Report
生産性と光学特性に秀でたチューナブル波長選択フィルタチップの開発
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23560385
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
依田 秀彦 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30312862)
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Keywords | 光波長フィルタ / 光デバイス |
Research Abstract |
(1)温度制御型チューナブルフィルタ ■a-Si:D/SiO2多層膜チューナブルフィルタの高温時吸収損失増加を抑制することを目的に,多層膜の低屈折率層を(従来のSiO2から)SiNに変更し,高温時吸収損失の実証実験を行った。a-Si:D/SiO2とa-Si:D/SiNとの吸収損失に明確な違いが認められ,a-Si:D/SiNによる抑制効果を実証できた。■チューナブルフィルタチップの消費電力特性改善(初年度に実施)を推し進めるため,(i)局部薄型加工技術(初年度に開発)の改良,(ii)透明ヒータ膜材料の新規選定,に取り組んだ。(i)では,局部薄型加工した穴底面の形状および凸凹粗さを改善できた。 (ii)では,Si半導体系と酸化物半導体系の薄膜を試作し,電気特性(抵抗率,電流印加発熱時の面内温度分布,発熱時の耐熱性)および光学特性(透明性)を実験的に評価した。試作薄膜は透明ヒータ膜としてまだ不十分な特性であり,次年度引き続き検討を続けたい。■フィルタ成膜技術改善の一項目として,成膜時間の短縮化(目標:従来の1/2以下)がある。フィルタの多キャビティ構造化,スペクトル形状改善,など将来の進展に寄与する。多層膜の低屈折率層を(従来のSiO2から)SiOxに変更して試作実験を行い,従来の1/3~1/4に短縮化できる可能性を見いだした。 (2)電圧制御型チューナブルフィルタ ■チューナブル波長選択フィルタの試作を行うべく、作製技術の検討に取り組んだ。スピンコート法および酸素雰囲気中での高速高温熱処理によって,Pt/STO結晶基板上に,ペロブスカイト型PLZT結晶薄膜を形成できた。■Pt薄膜をミラー兼電極とした簡易構造のフィルタ(構造:Pt/PLZT/Pt/STO基板)を試作し,電気光学効果の確認実験を行った。実験では熱光学効果の影響が大きく電気光学効果が隠れてしまったため後日改めて評価したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)温度制御型フィルタに関して:特性はまだ目標に達していないものの,作製や実験は着実に進めて成果を積み重ねることができている。達成度は70%程度である。 (2)電圧制御型フィルタに関して:作製技術の実験的検討を行い,プロトタイプの試作まで進めることができ,今年度の目標を概ね達成できた。一方,今後に取り組むべき課題(フィルタ構造の改善,電気光学効果の確認実験,新たな作製技術の検討)が明らかになった。達成度は60-70%程度である。 H25年度をH23-24年度に生じた問題解決期間に充てており、H25年度に達成度を向上させたい。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)温度制御型チューナブルフィルタ ■①光学モニタ系精度向上とフィルタ成膜実験:光学モニタ精度改善+成膜高速化,BPF反射損失の評価;成膜半自動化,スペクトル波長ピークモニタ,多キャビティ化;モジュール化。■②局部薄型化による消費電力低減:消費電力を0.2W以下にするため、局部極薄加工の追求,加工効率の向上;透明ヒータ膜上BPFへの局部薄型加工。■③透明ヒータ膜最適化の検討:透明ヒータ膜材料(3種)の条件出しと評価(透明性・抵抗率);高温時のヒータ特性劣化の改善;ヒータ膜形状の最適化,高温時BPF透過率低下の改善。■④吸収損失の低減:SiNの耐熱性(Dバリア特性)評価;BPFのチューニング特性評価。 (2)電圧制御型チューナブルフィルタ ■①EO効果確認追実験:試料構造の改良;EO効果各種実験方法の再調査;試作とEO効果確認実験。■②EO薄膜の均質性改善,フォトリソによるパターニング;特性評価実験(結晶性,吸収特性,光学特性)。■③多層膜ミラー型EOフィルタの試作:非晶質基板上にPLZT結晶薄膜形成するためのプロセス検討;高温耐熱性多層膜ミラーの検討(耐熱性,光学特性);電極材料のパターニング;試作しやすさを優先し、光学特性の設計仕様はゆるめに設定する。チューナブルフィルタとしての光学特性と応答特性を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
■H24年度終了時に予算を残した理由: ①H24年度の研究進展具合に応じて適切に購入物品量を調整したため。②H25年度の予算が前年度と比べてやや少なく,H25年度に多少余裕をもたせて予算を確保して研究進展具合に応じて柔軟に適切な物品を購入するため。 ■H25年度の研究費の使用計画: ①成膜制御VBプログラムの改良(半自動化)のためにリモート制御可能な電圧源を2台購入する。②実験的な試行錯誤が多数必要となるため、消耗品に予算の大半を充てる。
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Research Products
(4 results)