2013 Fiscal Year Research-status Report
生産性と光学特性に秀でたチューナブル波長選択フィルタチップの開発
Project/Area Number |
23560385
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
依田 秀彦 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30312862)
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Keywords | 光波長フィルタ / 光デバイス / 透明ヒータ膜 |
Research Abstract |
(1)温度制御(TO)型チューナブルフィルタ ■ダブルキャビティ型a-Si:D/SiOx BPFを作製し,箱形の透過スペクトル特性を実証した。成膜レートの早いSiOxを低屈折率層に採用して,多層膜フィルタの作製時間を従来の1/3にまで短縮できることを実証した。■温度制御型波長選択フィルタ用の透明ヒータ膜候補としてITO,ITiO,pc-Si:Bを作製条件を変えて作製し,近赤外波長帯における光吸収率,体積抵抗率を評価し,ITiO膜が唯一光吸収率3%以下かつ体積抵抗率10^-2Ω・cm以下の性能目標を満足することを明らかにした。ITiO膜について消費電力負荷試験を行い,膜厚300nmのITiO膜では消費電力0.8Wで抵抗率が安定であることを示した。ITiO膜がチューナブル波長選択フィルタ用の透明ヒータ膜材料に適することを実証した。■TOチューナブル波長フィルタの省電力化と応答向上を目的としてフィルタ付石英基板の局所薄型加工を行い,取扱い強度を保持したまま試料体積を従来比22%に減少させた。消費電力に対する温度増加率を34℃/0.1W(薄型加工前と比較して1.4倍)に改善できた。■チューナブルフィルタチップのファイバインライン集積を目的に,光学系を30mm角面積内に構築した。フィルタチップ150℃発熱時,インライン光学系への悪影響がないことを確認した。 (2)電圧制御(EO)型チューナブルフィルタ ■PLZTを用いたEOチューナブル波長フィルタの作製要素技術の開発に取り組んだ。①Pt(111)の良好な形成条件を見いだした。②Pt(111)を上部seed層に利用することで,格子不整合の下地層上にもPLZT(111)を優勢的に結晶成長することに成功した。③SiNx/SiO2多層膜ミラーの700℃耐熱性を実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)建物改修が実施され研究室引越しを2回(往路と復路)行うことになり,研究に必須の実験装置(特に大型の真空装置や加工装置)が使用できなくなり,のべ約3ヶ月間断続的に研究が滞った。研究計画項目の一部を年度内に遂行できなくなった。 (2)温度制御型フィルタに関して:特性はまだ目標に達していないものの,作製や実験を着実に進めて成果を積み重ねることができている。一方,労力を費やした割に性能向上が進まなかった課題(消費電力の低減),時間不足で取り組めなかった課題(半自動化,損失低減)もある。達成度は75%程度である。 (3)電圧制御型フィルタに関して:EOフィルタ構造の変更,作製要素技術の実験的検討を行い,EOフィルタの試作に必須の技術開発を積み重ねることができている。一方,今後に取り組むべき課題(電気光学効果の確認実験,更なる結晶性向上)が明らかになった。達成度は65-70%程度である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)温度制御型チューナブルフィルタ ●VB制御プログラムを改良し,成膜シーケンスと膜厚制御判断を半自動化する。●2~3キャビティ多層膜フィルタを半自動で試作し,スペクトル形状再現性を向上させる。●透明ヒータ膜付フィルタチップ(1.4mm□×0.1mmt)とレンズドファイバコリメータを組込んだ省スペースモジュールを試作する。 ●チューナブル特性測定(応答評価)を行う。 (2)電圧制御型チューナブルフィルタ ●非晶質基板上に均一な膜厚と配向性をもつ強誘電体薄膜(PLZTやBST)を形成するため,スピンコート+高速高温熱処理 の技術向上を進める。単一配向性,低損失性,大きなEO効果 を得るための作製プロセスを実験的に検討し,膜を測定評価する。●EO効果確認実験系を構築する。 ●光学設計仕様をゆるめに設定して,1キャビティ型フィルタを試作する。関連する作製要素技術(ミラー層,シード層,電極層)の開発を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
建物改修が実施され研究室引越しを2回(往路と復路)行うことになり,研究に必須の実験装置(特に大型の真空装置や加工装置)が使用できなくなり,のべ約3ヶ月間断続的に研究が滞った。研究計画項目の一部を年度内に遂行できなくなったため計画を次年度まで延長し,①TOフィルタの成膜実験とチューニング特性評価実験,②EOフィルタの試作実験とEO効果確認実験,を追加して行うこととしたため,未使用額が生じた。 上記①と②の実験を行って研究計画項目を全て完了させることを次年度行うとし,未使用額は実験消耗品(真空部品,電子部品,基板,ガス)の経費に充てることを予定する。
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Research Products
(5 results)