2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560394
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
石井 仁 豊橋技術科学大学, テーラーメイド・バトンゾーン教育推進本部, 特任教授 (20506175)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | MEMS / 細菌 / 蛍光 / レジオネラ |
Research Abstract |
本研究では、細菌それ自身の示す走化性、走光性といった挙動、発光特性などを利用し、これを集積化MEMS技術によって作製したBio-MEMSチップによって検出可能で、操作が簡便な小型の細菌検出チップの実現を目標としている。本年は、MEMS型流路内に注入されたレジオネラ菌を捕獲できる構造の検討を行い、LSIプロセス技術を応用したマイクロマシニング技術によって細菌捕獲チップを作製し、レジオネラ菌の捕獲を蛍光発光によって検証するとともに受光素子との一体化に向けたデータ取得を行った。1.レジオネラ菌の捕獲:Siマイクロピラー構造を持つMEMS型マイクロ流路チップを作製し、本研究のターゲット細菌であるレジオネラ・ニューモフィラを導入して、このSiマイクロピラー構造に捕獲可能であることを、この細菌の持つ特徴的な蛍光によって確認した。2.蛍光の分光:捕獲したレジオネラ・ニューモフィラからの蛍光を分光することにより、紫外域以外にも450 nm付近にも蛍光ピークが存在することを新たに見出した。この450 nmの蛍光強度とレジオネラ・ニューモフィラ濃度との間には一定の関係があり、定量可能であることも見出した。3.光検出の検討:レジオネラ・ニューモフィラからの蛍光を、蛍光色素を使って模擬し、フォトディテクタを用いてこの細菌からの蛍光の検知可能性を検討した。その結果、検知面積を広げるなどの細菌捕獲チップの構造の工夫によって、レジオネラ・ニューモフィラからの蛍光を検知可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、まずMEMS型流路内に注入されたレジオネラ菌を捕獲できる構造の検討を行い、LSIプロセス技術を応用したマイクロマシニング技術によって細菌捕獲チップを作製し、レジオネラ菌の捕獲を蛍光発光によって検証するとともに受光素子との一体化に向けたデータ取得を行うことが初年度目標であった。 これに対し、Siマイクロピラーを持つMEMS構造チップにレジオネラ・ニューモフィラを捕獲可能なことを、この細菌の発する蛍光によって確認し、定量的検討のために蛍光分光を行い、この分光データに基づき蛍光色素で模擬した系により光検出の検討を行った、すなわち受光素子との一体化に向けたデータ取得ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.今後は、23年度に取得した基礎データを基に、捕獲された細菌からの蛍光をとらえる受光素子の構造および作製プロセスの検討をおこなう。さらに、この受光素子を23年度に作製したMEMS型細菌捕獲チップと一体化する検討を行う。レジオネラ・ニューモフィラを導入して、ある閾値を超えたときに警告を発することができるデバイスの開発へと進める予定である。2.また、細菌の持つ、走化性、走光性などを利用した細菌弁別を行うために、コンビナトリアルに環境条件を設定できる細菌行動観測チップの作製を行う。当面、温度敏感細菌をターゲットとして、温度に依存した細菌行動の観測チップの検討を行う。3.上記1と2の検討を合わせて細菌弁別機能、細菌捕獲機能、警告の発信機能を併せ持つ細菌検知デバイスの開発へと進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、1.レジオネラ・ニューモフィラからの蛍光をとらえる受光素子の構造および作製プロセスの検討、2.この受光素子をMEMS型細菌捕獲チップと一体化する検討、3.細菌行動観測チップ検討、これら三つの検討のために主として、Si基板、蛍光色素など材料費の購入に研究費を充てる予定である。
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