2012 Fiscal Year Research-status Report
1.55μm帯偏光双安定デバイスの超高速スイッチング特性の測定・評価
Project/Area Number |
23560396
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
片山 健夫 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (80313360)
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Keywords | 光スイッチ / 高性能レーザ / 応用光学・量子光工学 / 計測工学 / 先端機能デバイス |
Research Abstract |
情報通信において、通信量と消費電力の増大が大きな問題となっており、全光型通信の実現が求められている。その実現には、光通信波長帯の1.55 μm帯で動作し、高速な光信号が電気変換なく記録できる光バッファメモリの実現が大きな課題となっている。本研究の目的は、全光型メモリに適用可能で、世界最高速のスイッチング速度で動作可能な面発光半導体レーザ(VCSEL)の1)偏光スイッチのスイッチングの過渡応答を測定し、2)偏光双安定スイッチの機構を解明し、3)さらなる高速化を目指したVCSELの構造を設計することである。 ストリークカメラを用いて測定していた偏光スイッチングの測定を高速化するために、時間分解能230 fsの光非線形相互相関計を構築した。相互相関計にVCSEL出力と超短パルス(参照パルス)を入射して相互相関測定を行い、VCSELの偏光スイッチングの切り替わり速度を測定する。構築した測定系で参照パルスと相互相関が測定可能なVCSEL出力は11.7mWであった。VCSEL出力は1 mW程度であるため、光ファイバーアンプ(EDFA)でVCSEL出力を増幅させる必要があることが分かった。 また、偏光双安定VCSELのさらなる高速化を目指した構造として、n側DBRのペア数を減らして共振器のQ値を下げることが有効であるため、低Q値VCSELを作製した。従来のVCSELは27ペアのn側DBRで構成されている。Q値の低下を補償するため活性層の量子井戸数を増やし、DBRペア数を22ペアに減らしたVCSELを作製し、偏光スイッチング離調特性を比較評価した。パルス幅100 psの入力光の波長を変化し、安定な偏光スイッチングが生じる最小スイッチングパワーの周波数特性を求めた。低Q値化により離調が大きくなっても小さな光パワーでスイッチングできたことから、これまで以上の高速光メモリ動作の実現が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は光パラメトリック発振器(OPO)から出力される200 fsの光パルスを用いて、VCSELの偏光スイッチング速度を測定する光相互相関測定系の構築を行った。さらに、スイッチング速度の高速化を目指した構造の低Q値VCSELを作製し、スイッチング特性の評価を行った。相互相関系の感度が、高効率のSHG結晶を用いた場合でも位相整合条件の問題から感度が上がらず、光ファイバーアンプ(EDFA)でVCSEL出力を増幅させる必要があることが分かり、基礎的な測定系の構築に時間を費やしたため、当初計画より多少遅れている。しかし、低Q値VCSELの発振に成功し、偏光双安定特性が得られ、その光入力によるスイッチング特性から高速動作が期待できる結果が得られたことは、当初の計画以上に進展した結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は相互相関系に現有のEDFAを導入して高感度化を図り、偏光スイッチング速度の測定を行う。サンプリング光と直交した偏光方向の光とのみSFG発生するType-IIの位相整合を起こす非線形光学結晶を導入し、VCSELの短光パルスに対する応答特性を評価する。Type-IIの測定と同時にType-Iの測定を行うことにより、一方の偏光モードの立ち上がりと同時に、直交する偏光モードの立下りを測定でき、両偏光モードが相補的に切り替わっているかどうかを正確に測定する。 また、本年度実現した低Q値VCSELの偏光スイッチングの離調特性を解析して、レート方程式を用いたシミュレーション結果と比較し、高速、低エネルギー、広い入力波長範囲で動作する光メモリや光論理素子として望ましいVCSELの構造を設計し開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は研究の進展に応じて予算の執行を行った結果、当初計画より少ない金額で研究を遂行することが可能であった。 次年度は測定系の高感度化を行うためEDFAを相互相関系に用いるためにアイソレータやBPFなどの光学部品を導入する。 また、得られた測定結果の解析を行い、それらの成果をIEEE Photonics Societyや電子情報通信学会主催の会議等で発表し、査読のある国際的な学術雑誌で発表する。
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Research Products
(5 results)