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2012 Fiscal Year Research-status Report

MOS構造を用いた表面プラズモン共鳴による光変調の研究

Research Project

Project/Area Number 23560399
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

田部井 哲夫  広島大学, ナノデバイス・バイオ融合科学研究所, 特任助教 (40536124)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 横山 新  広島大学, ナノデバイス・バイオ融合科学研究所, 教授 (80144880)
Keywords光変調器 / シリコンフォトニクス / 表面プラズモン
Research Abstract

本研究で提案する光変調器は金属-酸化膜-半導体(MOS)構造を持ち、電圧印加によって表面プラズモン共鳴を制御することにより光変調を行う素子である。表面プラズモン共鳴が起こる条件はデバイス材料の光学定数、入射する光の波長や導波路のサイズなどに大きく依存する。前年度では入射光の波長及び光変調器の材料を固定し、最適なデバイスサイズを数値解析により見積もった。今年度はその解析結果をもとに実際にデバイスの設計・試作を行い、光変調の測定を行った。
提案する光変調器の作製技術はMOSトランジスタの作製技術とほぼ同じであり、従来のシリコン微細加工技術を用いてデバイスの試作を行った。試作した光変調器と同じチップ内にMOSトランジスタを配置し正常なトランジスタ動作を確認することで、提案する光変調器がCMOSプロセス技術と両立することを確かめた。
次に試作したコア幅850 nm、厚さ200 nm、ゲート酸化膜厚5 nmの光変調器の光変調特性を測定した。その結果、波長1.5umのTM偏光波を入射した際、ゲート電圧が約+3.5V(チャネルは反転状態)で出射光の強度が大きく減少することを確認した。またTM波入射でゲート電圧が負の場合やTE波入射の場合には、出射光強度の減少は確認できなかった。これらの測定に並行して、試作したサイズの光変調器の数値解析を行った結果、TM波入射でゲート電圧が正の場合にのみ大きな光変調が見られ、実験の測定結果と同様の傾向が得られた。これらの結果から、測定で観測された光の減衰は表面プラズモン共鳴が原因と考えられ、MOS構造内部において電圧印加によって表面プラズモン共鳴を制御し光変調を行うことが可能であることが確かめられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究で提案するシリコン光変調器の作製プロセスはMOSキャパシタやMOSトランジスタの作製プロセスとほぼ同じであり、従来のシリコン微細加工技術で行うことができる。しかしながらシリコン細線導波路形成技術はまだ確立された技術ではない。シリコン導波路は伝搬損失を抑えるために出来るかぎり垂直にエッチングする必要があり、またエッチングされたシリコンの表面荒れは少ない方が望ましい。そのため、シリコンエッチングの条件出しは必須である。またデバイスは立体構造であるためゲート電極となるポリシリコンのエッチングは等方的であることが望ましく、こちらも条件出しは必須である。本研究ではデバイスの作製前にまず詳細な工程表を作り、工程内容を十分に吟味して、条件出しの必要な箇所を出来るだけ洗い出した。デバイス作製には設計及びデバイス作製時の条件出しを含め半年以上かかったが、これらの作業に時間がかかることはある程度想定済みであり、ほぼ予想通りの進行状況である。
作製したデバイスの光変調特性については、表面プラズモン共鳴によるものと考えられる光強度の減衰が確認され、目標の一つである「表面プラズモン共鳴による光変調の確認」は達成されたと思われる。

Strategy for Future Research Activity

目標の一つであった表面プラズモン共鳴による光変調の確認は達成できたが、その消光比は数値解析の結果と比べてはるかに小さい。今後の研究目標は消光比の大きさが数値解析の結果と比べてはるかに小さかった原因を探ること、更に高い消光比を得る方法を探索することである。
消光比が小さかった原因を探る方法としては、これまで作製したデバイスから問題点の抽出し、その対応策を検討して、試作を繰り返すことによってデバイスの性能向上を図る。ただしデバイスの試作には時間が掛かり、年に2、3回が限度と考えられる。
より高い消光比を得る方法として、これまではデバイスの材料を固定し、サイズをいろいろ変えて最適なサイズを探索した。今後は更に材料を変えることで消光比の増大を図る。具体的にはこれまでゲート絶縁膜として二酸化シリコンを使用していたが、今後は窒化シリコンや酸化ハフニウムなどの高誘電率の膜も検討する。
また本研究で提案する光変調器はMOSキャパシタ構造を持っているが、ゲートの両端にソース、ドレインを設けることによってMOSトランジスタになる。MOSトランジスタにすることで反転領域にキャリヤを注入することが可能となるが、これが表面プラズモン共鳴を制御するパラメータとなりうるか検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究費は主に、デバイスの作製時に必要なウェハや薬品など、消耗品の購入に使用する。以下に購入予定のものを挙げる。
①シリコンウェハ:主に薄膜の堆積やエッチングの条件出しなど、デバイス作製の際に必要となるデータの収集に用いる。デバイスの作製プロセスは多岐に及ぶため、条件出し用のシリコンウェハは数十枚必要と考えられる。
②半導体用薬品:ウェハの洗浄時に使用する硫酸や過酸化水素水、薄膜のエッチング時に使用するフッ酸、水酸化テトラメチルアンモニウム、リン酸など。その他、リソグラフィー用のレジストや現像液も購入する。
③測定用機器:主に光学測定用部品の購入に使用する。デバイスの測定に必要な機器は今年度にほとんど用意したが、不足しているものについては新たに購入する。偏光板、先球ファイバなど。その他、デバイスの電気特性の測定に必要なプローブ用の針なども購入する。
上記の消耗品以外には、国内の学会や国際会議の参加費及び旅費、また論文の投稿料などに使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Proposal of a silicon optical modulator based on surface plasmon resonance2012

    • Author(s)
      T. Tabei and S. Yokoyama
    • Journal Title

      Proc. SPIEProc. SPIE 8431, Sili- con Photonics and Photonic Integrated Cir- cuits III

      Volume: 8431 Pages: 84311K-1 – 84311K-6

    • DOI

      10.1117/12.922864

  • [Presentation] 表面プラズモン共鳴型シリコン光変調器の改善2013

    • Author(s)
      田部井 哲夫
    • Organizer
      2013年第60回応用物理学会春季学術講演会
    • Place of Presentation
      神奈川工科大学(神奈川県)
    • Year and Date
      20130327-20130330
  • [Presentation] 表面プラズモン共鳴をベースとしたシリコン光変調器の試作2012

    • Author(s)
      田部井 哲夫
    • Organizer
      2012年秋季第73回応用物理学会学術講演会
    • Place of Presentation
      愛媛大学・松山大学 (愛媛県)
    • Year and Date
      20120911-20120914

URL: 

Published: 2014-07-24  

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