2013 Fiscal Year Annual Research Report
MOS構造を用いた表面プラズモン共鳴による光変調の研究
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23560399
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田部井 哲夫 広島大学, ナノデバイス・バイオ融合科学研究所, 特任助教 (40536124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 新 広島大学, ナノデバイス・バイオ融合科学研究所, 教授 (80144880)
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Keywords | 光変調器 / シリコンフォトニクス / 表面プラズモン |
Research Abstract |
微細なサイズ、高い消光比、低消費電力などの性能を有するシリコン光変調器の開発を目指して、本研究では金属-酸化膜-半導体(MOS)構造を持ち、ゲート電圧印加によって現れる反転層を金属薄膜として機能させ、表面プラズモン共鳴(SPR)によって伝搬光強度を制御する光変調器の実現可能性を検討した。その成果として、 1.MOS構造において、SPRによる光変調をゲート電圧によって制御可能であることを数値解析で確認した。SPRによる光変調の特徴はある特定の電圧で非常に大きなピークとして現れることであり、電圧を大きくするほど光強度が低下する自由キャリヤ吸収とは振る舞いが異なる。また高誘電率のゲート絶縁膜を用いると、より低電圧で変調が出来ることが分かった。更に、提案する光変調器ではデバイス長100um以下で10dB以上の消光比が期待できることが数値解析により分かった。 2.シリコン酸化膜をゲート絶縁膜とするMOSキャパシタ型の光変調器を試作し、波長1.5umの光に対しゲート電圧3.5Vで消光比0.3dBの光変調を確認した。 3.最終年度はシリコン窒化膜をゲート絶縁膜としたMOSトランジスタ型の光変調器を試作し、ゲート電圧1.3V、ドレイン電圧0Vで最大1.6dBの消光比を得た。さらにドレイン電圧を0から4Vへ変化させると消光比が小さくなる結果が得られた。これはドレイン電圧を大きくすると実効的チャネル長が縮小するためと考えられる。また正常なトランジスタ動作を確認し、提案する光変調器がCMOSプロセス技術と両立することを確認した。 現時点での、提案する素子の光変調がSPRに由来すると考える根拠は、TE波・TM波の違いによって光変調の大きさが異なることや自由キャリヤ吸収と比べて非常に大きな光変調が得られていることである。今後は更に強い根拠としてMOS構造におけるプラズモンモードの分散曲線の導出を目指す。
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