2012 Fiscal Year Research-status Report
実用的な異方性メタマテリアル構築に向けた効率的材料定数測定法の確立
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23560401
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
堀田 昌志 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (70229201)
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Keywords | 導波管充填法 / 材料定数測定 / 異方性媒質 / 電磁界シミュレーション / メタマテリアル |
Research Abstract |
平成24年度は,前年度の5-8GHzおよび8.5-11.5GHz帯における材料定数測定実験を継続するとともに,当初の予定通りWR137規格の導波管を用いた材料定数測定装置を構築して,7-10GHz帯における等方性材料定数(公称値としてその材料定数があらかじめ推察できる材料である,アクリル,発泡スチロール,フェノール基板,FR-4,炭素粉末含有ゴム製電波吸収体など)の測定を行った。また,これまでに構築した測定システムを複合して異方性材料定数を測定可能であると考えられる6-7GHz帯および8.5-10GHz帯における材料定数測定法の精度に関する検討を高周波電磁界シミュレータによる反射・透過特性の特性解析結果を基に検討した。 まず,実際の等方性材料における測定結果では,測定値にばらつきが出る周波数帯が認められた。その原因として,試料と導波管の不整合による反射などによる影響が考えられたため,ベクトルネットワークアナライザに時間領域解析が可能なオプションを導入して測定系における反射波による誤差の除去に関する検討を行った。反射の影響に関しては,現在も検討を行っている過程であり,次年度には,測定誤差のその他の発生要因なども考慮に入れつつ引き続き検討を行っていく予定である。 また,今回購入したWR137導波管による等方性媒質の材料定数測定結果は,これまでに構築した他の測定システムによる結果と動作周波数帯が重なる位置において若干の差異が認められた。今回購入したWR137導波管は購入価格予算面を考慮して米国製のものを選定したが,本導波管システムでのみ他のシステムと異なる測定結果が得られる。この事実を鑑みて,次年度は作成精度のより高い同規格の導波管システムを購入し,特性測定を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度に予定していた基本測定系構築や測定方法および解析方法に関する検討はおおむね順調に遂行されている。ただ,基本測定系中で,WR137導波管を用いたシステムにおいて測定誤差が大きくなる傾向が見られた。そこで,その原因究明と対策に関する検討に時間を大幅に割いてしまい,当初の研究計画における異方性材料の作製検討やチャートを用いた材料定数推定アルゴリズムに関する検討が少々遅れている。現在,誤差発生の原因究明を急ぐとともに新規導入したWR137導波管システムについて,より作製精度の高い国産同軸導波管変換器の再購入を検討している。 本年度に購入したベクトルネットワークアナライザ用の時間領域解析オプションによる試料端面での反射の影響考察と同時に,導波管システムの規格ずれ等に起因すると思われる影響の原因究明と改善を早急に進める事により,平成25年度内には当初の最終研究達成目標である異方性材料の材料定数測定まで達成する予定である。 なお,本システムでは異方性媒質の材料定数テンソルにおいて,ある一部の成分が測定できないという問題も明らかになっている。この点については最終年度にその解決策を見い出せる様に至急検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度までに基本的な材料定数測定システムに関連する機器に関しては準備ができた。ただ,現状では,一部の導波管(WR137)に関しては測定精度が安定しないなどの問題がある。そこで,平成25年度は,作製精度の高い国産WR137導波管システムを新規購入し,測定精度の向上を目指す。また,被測定試料の形状により発生していたと見られる反射波の影響をベクトルネットワークアナライザの時間領域解析オプションを用いて詳細に調べる予定である。 本研究の最終年度にあたり,当研究室所有の基板加工装置を用いた異方性媒質の構築を行い,実際にその材料定数を測定して物理的な検討を加える事により本測定システムの妥当性について検証する予定である。 なお,得られた成果を基に学会発表を行ったり,学術論文誌あるいは大学紀要(報告)等の対外的に公開される場に結果を投稿する事で外部研究者の意見などを適宜取り入れながら目標である材料定数測定システムの完成とその精度向上および弱点克服を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度残余金は,情報収集や研究発表における学会等への参加旅費として用いる。また,動作が不安定な導波管システム関係部品を購入する。さらに,測定器で用いているコネクタやケーブル等も誤差を増長する可能性のある部品に関しては新規購入または改良を行う予定である。 さらに,異方性人工媒質作製用に加工用工具及び高周波回路用基板などを購入する予定としている。
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Research Products
(10 results)