2013 Fiscal Year Annual Research Report
回折格子を用いたプラズモンバイオセンサの位相検出による分解能向上
Project/Area Number |
23560404
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
奥野 洋一 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (50117082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周山 大慶 明石工業高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (70336204)
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Keywords | 表面プラズモン共鳴吸収 / 金属格子 / 位相検出 / バイオセンサ |
Research Abstract |
本研究の目的は,金属で作られた回折格子に励振されるプラズモン表面波を利用して,7桁を超える分解能を持つ屈折率センサを実現することである.研究代表者は,この目的を達成するために,研究の内容を理論解析と実験検証に分け,理論は研究代表者と研究分担者のグループが,実験は研究協力者1(浙江大学,何教授)の主宰するグループがそれぞれ主として担当する体制を準備した.研究計画の最終年度には,中国における研究の進捗状況に鑑みて,研究協力者2(九州産業大学,徐准教授)にも実験検証の一部を依頼した. 理論解析において得られた主要な知見は,以下のとおりである:①格子はコニカルマウントで使用し,プラズモン共鳴吸収に伴うモード変換を利用する;②このとき,反射光の効率測定だけで6桁弱の分解能が得られる;③反射光のTM成分の位相検出を併用すれば8桁を超える分解能が可能である(方位角を測定対象の屈折率に応じて調整する必要がある);④広い測定範囲を確保するために,屈折率範囲と適切な方位角の関係を調べ,ワークスペースとして提供した;⑤位相検出法には,PEM(光弾性変調器)を用いたホモダイン検波が適当である(この方法は,研究協力者1のグループで開発された).このように,理論解析の部分では,研究計画で課題としたほとんどの小目標を達成した. 実験検証については,主として二つの問題1のために,一部の目標が達成されていない.特に,研究期間内に位相検出を含む屈折率センサのプロトタイプを構成してその性能を確認することができなかったことは,大変残念である.現在,光学系の構成(案)ができた段階であり,このまま放置すればこれまでの成果が失われかねないので,平成26年度以降も研究を継続したい. 注1.大震災のために研究の開始が半年以上遅れたこと;日中間の問題のために,中国で研究代表者が参加するプロジェクトに大きな遅れが生じたこと.
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