2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560406
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Research Institution | The University of Aizu |
Principal Investigator |
束原 恒夫 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (10433153)
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Keywords | RF回路 / 直交変調器 / 直交復調器 / 無線通信 / CMOSデバイス |
Research Abstract |
最初に、アクティブ型直交ミキサの低電圧動作化(1.8V以下)の研究を実施した。さらに、パッシブ型ミキサの適用による低電圧化について低電圧・高周波動作化について本格的な検討を進めた。複素型直交変調器には2個の直交ミキサが使われる。アクティブ型の直交ミキサはローカル(LO)信号の位相誤差を補償する効果を持つことが、本提案の特長である。直交ミキサ1の出力IIと直交ミキサ2の出力QQは減算器により引き算され、同相RF出力を生成する。一方、直交ミキサ1の出力IQと直交ミキサ2の出力QIは加算器により加えられて、直交RF出力を生成する。これにより、複素型のRF変調信号が得られる。さらに、直交RF信号は、複素フィルタに入力されて、負周波数領域の不要なRF信号を抑圧して、高精度のRF変調信号を出力する。アクティブ型直交ミキサについては、2種類の折返し構成(折返しカスコードとカレントミラー手法)を提案することで、1.5Vの低電圧動作を可能とした。 一方、パッシブ型直交変調器では、トランジスタによるスイッチで直交ミキサを構成した。さらに、2逓倍器と1/2分周器の組み合わせによる直交ローカル信号発生器を新たに考案した。位相補償効果は、元になる直交ローカル信号から2倍の周波数を発生させる新型2逓倍回路にて、アクティブ型直交ミキサと同様に行われる。電源電圧は従来型の1/2分周器を用いると1.8V動作であったが、新たに折返し型フリップフロップ構成を提案して、1.2Vまでの低電圧動作ならびに5GHzまでの高周波動作を可能とした。複素フィルタとして、RCポリフェーズ・フィルタを用いた構成を用いた場合、SSB(Single Sideband)変調のときに、RCのバラツキを考慮したときでも、不要サイドバンド抑圧比(SRR)で60dB以上を可能とした。変調精度(EVM)では1%以下の高精度が可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アクティブ型直交変調器で1.5V以下の電源電圧で15mW以下の消費電力、パッシブ型直交変調器では1.2V以下の電源電圧で9mW以下の消費電力を実現できる見通しが得られた。H24年度の当初計画においては、パッシブ型直交変調器の低電圧・低消費電力動作化とLC型複素フィルタの検討を計画していた。パッシブ型直交変調器については十分な検討が実行できたので100%以上の達成度と言えるが、LC型複素フィルタについては検討が不十分であり、総合的には90%程度の達成率である。
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Strategy for Future Research Activity |
パッシブ型直交変調器の基本検討に十分な時間を費やしてきたので、テストチップの試作までは進まず、研究費に繰越し額が生じた。最終年度となるH25年度では、パッシブ型直交変調器について、さらなる低電圧・低消費電力を進めるとともに、当初予定通り、雑音発生の少ないLC型複素フィルタの検討を行う。以上の検討結果を踏まえて、直交変調器としてのテストチップの試作も進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
パッシブ型直交ミキサを用いた変復調器についてLOリーク補正手法の提案ならびにLC型複素フィルタの研究を実施する。低電圧動作のパッシブ型直交変復調器については、レイアウト設計までを大学で実施し、東京大学VDEC等を用いてテストチップ (TEG)試作を行い、実験的に有効性を確認していく。 複素フィルタについては、RCポリフェーズ・フィルタでは所望信号の減衰と雑音増加の欠点があるため、雑音源となる抵抗を極力用いないLC型フィルタを提案していく。構成としては、(a)負周波数領域に減衰特性を設けるポリフェーズ・フィルタ型と(b)正周波数領域にバンドパス特性を持たせる複素バンドパス・フィルタ型の両面で、検討する。複素バンドパス・フィルタ型は、不要な近傍信号と雑音も減衰させることができるので、無線通信には好ましい。なお、以上述べた要素回路技術は、複素型直交復調器の高性能化にも適用を検討する。
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Research Products
(3 results)