2011 Fiscal Year Research-status Report
GaN系HEMTにおける異常現象や特性劣化の解明及びそれらの対策法の理論的研究
Project/Area Number |
23560411
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀尾 和重 芝浦工業大学, システム工学部, 教授 (10165590)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ガリウムナイトライド / HEMT / フィールドプレート / 電流コラプス / 耐圧 / 2次元解析 |
Research Abstract |
半絶縁性GaNバッファ層内に深いドナーと深いアクセプタを考慮したAlGaN/GaN HEMTの2次元過渡解析を行い,ドレイン電圧やゲート電圧を急激に変化させたときに見られる緩やかな電流応答(ドレインラグ,ゲートラグ)及びそれらの複合現象としての電流コラプス等の異常現象について検討した。特に,ゲート・ドレイン間のパシベーション膜上に電極を設けたゲートフィールドプレート構造の解析を行い,ゲートのドレイン端の電界緩和により電子のバッファ層内への注入が抑えられ,ドレインラグや電流コラプスが低減されることを示した。また,ソース電極とフィールドプレートを同一電位にしたソースフィールドプレート構造の解析も行い,ゲートフィールドプレート構造と同様の効果があること示した。さらに,バッファ層裏面に電極を設けた構造の解析を行い,これがバッファ層への電子注入を抑えてトラッピング効果を軽減するため,電流コラプスの低減に効果的であることを理論的には初めて示した。 この他,ゲートフィールドプレート構造を有するAlGaN/GaN HEMTの耐圧特性について解析した。ゲートフィールドプレートの導入によりゲートのドレイン端の電界が弱められ,オフ耐圧の向上につながることを示した。ただし,微細デバイスにおいては,フィールドプレート長が長くなるとフィールドプレート端とドレイン間の距離が短くなって,この領域の電界が非常に高くなり耐圧が逆に低下しうることを初めて示した。また,ソースフィールドプレート構造の耐圧特性についても解析し,ゲートフィールドプレート構造と同程度の耐圧向上効果があることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初,ゲートフィールドプレート,ソースフィールドプレートあるいは裏面電極の導入が,AlGaN/GaN HEMTのドレインラグ,ゲートラグ及び電流コラプスに与える影響を調べることを本年度の研究計画の主たるものとしたが,これらの導入により電流コラプス等が軽減されることを理論的に示すことができた。また,これらの導入がAlGaN/GaN HEMTの耐圧特性に与える影響についても解析し,それなりの成果を得つつある。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の研究を発展させ,AlGaN/GaN HEMTにおける電流コラプスや耐圧のフィールドプレートパラメータ依存性を解析し,最適なフィールドプレート構造を模索する。また,ゲートフィールドプレートとソースフィールドプレートを併せ持つデュアルフィールドプレート構造についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の研究費残高は交付額の1%程度であり,この分は次年度の物品費にあわせて使用する予定である。平成23年度に主たる物品(機器)は導入済みであるので,次年度は研究発表・調査用の旅費に全体の半額程度を使用する方向で検討する。
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Research Products
(8 results)