2011 Fiscal Year Research-status Report
Open FOAMを用いた電磁界数値解析法のマイクロ・ナノデバイス解析への応用
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23560418
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
黒田 道子 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 教授 (70225308)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 重合格子法 / FDTD法 / 移動境界問題 / ローレンツ変換 / 回転運動 |
Research Abstract |
電磁界数値解析に移動境界問題を導入した数値解法を提案してきている。この手法はFDTD法と重合格子法を組み合わせた手法であり、重合格子法をFDTD法に導入し移動境界問題に応用したものは世界でも例を見ない。任意の運動にも容易に適用できることを証明するため、直線方向の移動のほか3次元問題や回転問題に適用し、平成23年度は主として高速で回転する物体の電磁界解析を行った。これまで行っていた直線運動を回転運動に変えるため、主格子と副格子間で高速の場合にも適用できるようにローレンツ変換を考慮した時間格子と空間格子の座標変換を考案し副格子を回転させることができた。この計算結果を理論値と比較を行い精度の確認を行った。さらに、副格子を誘電体として誘電体の回転問題の解析を行った結果は理論値とよい一致を見た。このように誘電体の回転を数値解析できることにより、カーボンナノチューブなどの数値解析に適用できることが証明でき、今後広く応用が期待される。平成23年度は、主に計算精度について検討を行い、回転する場合と平行移動する場合について計算精度を確認できた。また、誘電体を導入した場合についてのシミュレーションも行った。これらの成果のうち、回転運動についての成果をまとめた論文は、2011年8月にACES Journalに掲載された。精度に関する研究は、2011年7月のIEEE APSで発表した。国内では、2011年9月電子情報通信学会ソサエティ大会、11月の電気学会電磁界理論研究会などで発表した。一方で、この手法は可変容量コンデンサを有する回路からの不要電波の解析にもできることが確認された。この成果は、2012年3月電子情報通信学会総合大会で発表した。このようにして、得られた成果は国内外の学会で発表し、高い評価を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、主格子と副格子を用いてローレンツ変換も考慮した電磁界移動問題の数値解析法に取り組み、この手法をさらに複雑な運動や3次元問題への適用を行った。具体的には、回転運動や3次元問題へ拡張し、理論値の結果と比較し精度検証を行いよい結果を得た。これらの成果は、回転運動についてはACES Journalに掲載された。精度に関する研究は、2011年7月のIEEE APS、2011年9月電子情報通信学会ソサエティ大会、11月の電気学会電磁界理論研究会、2012年3月の電子情報通信学会総合大会などで発表した。このようにして、得られた成果は国内外の学会で発表し、高い評価を得ている。誘電体を入れた場合にも適用しており、誘電体デバイスへの応用についても検討中である。大容量計算のためにOpen FOAMの手法をFDTD法に取り入れる手法についてはやや進捗状況が遅れているのが現状である。以上の理由により本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者黒田は、高速運動に適用できるようにローレンツ変換をFDTD法に組み入れるアルゴリズムを考案してきている。今後は、大容量の数値解析が可能な数値解析法を導入し、この手法をマイクロ・ナノデバイスの機構を解析する数値解析法に適用し、新しい現象の解明に取り組むことを目指している。Open FOAM は大容量の並列計算が簡単に行える特徴があり、この手法を初めて電磁界数値解析のFDTD法に取り入れる。今年度開発した回転問題を誘電体の回転運動に適用し、マイクロ・ナノデバイスの機能解析に応用し、新たな現象の解明を行う。複雑な運動に適用できるように電磁界・振動問題の解析を行い、MEMS、NEMSなどの可変機能を持つデバイスやカーボンナノチューブなどの運動解析に適用していく。カーボンナノチューブの動作確認と新たな機能の開発のための数値解析を行う。FDTD法で使用できるように開発したOpen FOAMを用いて大容量の数値解析を行い、マイクロ・ナノデバイスの機能解析を行い、新たな現象の解明を行う。カーボンナノチューブを専門とするManos Tentzeris教授、Open FOAMの専門家であるBinghu Piao 博士と協力し、研究を進めていく。実際の計算は、Shafrida Sahraniさんが行う 。研究協力者は以下に示す。Manos Tentzeris: Professor, Georgia Institute of Technology(USA)Binghu Piao: 株式会社ファームフロー代表取締役、電気通信大学産学官連携センター客員研究員Shafrida Sahrani: Lecturer, University Malaysia Sarawak(Malaysia)、東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科博士後期課程在学中
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度は研究代表者黒田が東京工科大学ンコンピュータサイエンス学部での業務多忙のため、国際会議等への出席が困難であったため予定していた旅費等に繰越金がでた。H24年度は、この手法を3次元問題に適用するためより高性能なコンピュータの購入、開発したシミュレーションの応用をより積極的に行っていくため国際会議等への論文の投稿、学会誌への投稿に力を入れていくための旅費等の使用を予定している。このほか、応用のためのシミュレーションを活発に行うための人件費の使用も予定している。
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Research Products
(5 results)