2011 Fiscal Year Research-status Report
オール無機材料からなる高耐熱シースルーフレキシブル薄膜ELデバイスに関する研究
Project/Area Number |
23560419
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 俊弘 金沢工業大学, 工学部, 教授 (30257448)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | フレキシブル / セラミックシート / EL / 酸化物蛍光体 / 薄膜 / 無機 |
Research Abstract |
本研究は、フレキシブルジルコニア系セラミックシートもしくは極薄ガラスシートを基板材料として採用する全く新規な高耐熱フレキシブル酸化物蛍光体薄膜ELデバイスおよび高耐熱シースルー酸化物蛍光体薄膜ELデバイスの実現をゴールとして、上記フレキシブル基板に適合する酸化物蛍光体材料、絶縁層材料及び透明電極材料を開発し、それらのフレキシブル基板上への薄膜形成技術、積層技術及び熱処理技術等のデバイス作製技術を確立することにある。本年度は以下の成果を得た。 1) 市販の100mm×100mmジルコニア系セラミックスを採用し、光をセラミックスを通して取り出す構造のフレキシブル薄膜ELデバイス構造に適合する透明導電膜材料として、Sb添加酸化スズとGa添加酸化亜鉛系複合酸化物透明導電膜の作成技術を確立し、発光層としてマンガン(Mn)添加硫化亜鉛(ZnS:Mn)系蛍光体薄膜を採用する高耐熱フレキシブル薄膜ELデバイスの作成技術を確立できた。当該、ELデバイスにおいて、曲げながら、十分実用に耐えうる黄橙色EL発光を実現できた。加えて、周囲温度100℃までの高温化においても安定に動作することを確認できた。また、Mn添加珪酸亜鉛(Zn2SiO4:Mn)酸化物蛍光体薄膜をフレキシブルセラミックシート上に形成する技術を確立でき、高耐熱フレキシブル酸化物蛍光体薄膜ELデバイスの実現のメドを得た。 2)セラミックス上部から光を取り出す構造についても、発光層としてマンガン(Mn)添加硫化亜鉛(ZnS:Mn)系蛍光体薄膜を採用する高耐熱フレキシブル薄膜ELデバイスの作成技術を確立できた。当該、ELデバイスにおいて、曲げながら、十分実用に耐えうる黄橙色EL発光を実現できた。加えて、周囲温度100℃までの高温化においても安定に動作することを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジルコニア系セラミックスを採用し、光をセラミックスを通して取り出す構造のフレキシブル薄膜ELデバイス構造に適合する透明導電膜材料として、Sb添加酸化スズとGa添加酸化亜鉛系複合酸化物透明導電膜の作成技術を確立していることに加えて、発光層としてマンガン(Mn)添加硫化亜鉛(ZnS:Mn)系蛍光体薄膜を採用する高耐熱フレキシブル薄膜ELデバイスの作成技術を確立できている。さらに、Mn添加珪酸亜鉛(Zn2SiO4:Mn)酸化物蛍光体薄膜をフレキシブルセラミックシート上に形成する技術を確立でき、高耐熱フレキシブル酸化物蛍光体薄膜ELデバイスの実現のメドが得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに確立した、ジルコニア系セラミックス上への、透明導電膜、酸化物蛍光体薄膜発光層作製技術をベースとして、本年度は、発光色のフルカラー化を目的として、赤、及び青色発光蛍光体薄膜材料の開発及びそれを用いるELデバイスを開発する。具体的には、第一段階として赤色及び青色発光蛍光体薄膜として、申請者らが開発に成功した高輝度発光が期待できるGa2O3:Cr及び(La1-xGax)2O3:Bi薄膜をそれぞれ採用し、ジルコニア系セラミックス上への最適成膜条件を確立し、前年度に確立した緑色発光と合わせて、フルカラーもしくは白色発光フレキシブル酸化物蛍光体薄膜ELデバイスを実現する。第二段階としては上記で確立した成膜技術をベースとして、ジルコニア系セラミックス上への形成に最も適合する新規な蛍光体母体材料及び発光中心材料を開発する。2) Ga2O3:Cr及び(La1-xGax)2O3:Bi蛍光体薄膜発光層の発光効率の改善を目的に実施したポストアニーリングは、コンビナトリアルスパッタリング成膜法を用いて基板温度300-350℃で作製されたGa2O3:Cr及び(La1-xGax)2O3:Bi蛍光体薄膜に対して各種雰囲気下で約800~1100℃の高温処理が必要である。この熱処理による基板、透明電極及び第一絶縁層薄膜でのダメージを低減するために、赤外線イメージ電気炉を使用するラピッドサーマルアニーリング技術を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度繰越金(162,786円)は購入予定の蛍光体粉末のメーカー在庫が無く、年度末までに購入が困難なため、次年度に繰り越した。次年度の消耗品費の中で使用する予定である。<消耗品費> 平成24年度にそれぞれ計上している消耗品費としては、スパッタ成膜に使用するターゲット材料費、その基板兼絶縁層材料であるセラミック材料、有機、無機化学薬品類であり、いずれも必要不可欠である。<旅費> 国内旅費及び外国旅費ともに本研究の成果発表のために計上している。<謝金> 本研究の遂行にあたって、データ収集・整理業務のため謝金を計上している。
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