2012 Fiscal Year Research-status Report
オール無機材料からなる高耐熱シースルーフレキシブル薄膜ELデバイスに関する研究
Project/Area Number |
23560419
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 俊弘 金沢工業大学, 工学部, 教授 (30257448)
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Keywords | 表示 |
Research Abstract |
本研究は、フレキシブルジルコニア系セラミックシートもしくは極薄ガラスシートを基板材料として採用する全く新規な高耐熱フレキシブル酸化物蛍光体薄膜ELデバイスおよび高耐熱シースルー酸化物蛍光体薄膜ELデバイスの実現をゴールとして、上記フレキシブル基板に適合する酸化物蛍光体材料、絶縁層材料及び透明電極材料を開発し、それらのフレキシブル基板上への薄膜形成技術、積層技術及び熱処理技術等のデバイス作製技術を確立することにある。本年度は以下の成果を得た。 前年度までに確立した、ジルコニア系セラミックス上への、透明導電膜、Zn2Si1-xGexO4:Mn 蛍光体薄膜発光層及び酸化アルミニウム-酸化イットリウム-酸化チタン系複合絶縁層薄膜作製技術をベースとして、発光色のフルカラー化を目的として、赤、及び青色発光蛍光体薄膜材料の開発及びそれを用いるEL デバイスを開発した。Ga2O3:Cr 及び(La1-xGax)2O3:Bi 薄膜をそれぞれ採用し、ジルコニア系セラミックス上への最適成膜条件を確立した。また、Ga2O3:Cr 及び(La1-xGax)2O3:Bi 蛍光体薄膜発光層の発光効率の改善を目的に実施したポストアニーリングは、蛍光体薄膜に対して各種雰囲気下で約800~1100℃の高温処理を赤外線イメージ電気炉を使用するラピッドサーマルアニーリングを用いて行う技術を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当面の技術課題である、フレキシブル無機ELデバイスの発光層に適合する、新規な蛍光体薄膜の開発に成功すると共に、発光特性の改善に特に重要なポストアニーリングとして各種雰囲気下で約800~1100℃の高温処理を赤外線イメージ電気炉を使用するラピッドサーマルアニーリングを用いて行う技術を確立した事による。
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Strategy for Future Research Activity |
1)平成24年度までに確立した、ジルコニア系セラミックス上への、透明導電膜、Zn2Si1-xGexO4:Mn 蛍光体薄膜発光層及び酸化アルミニウム-酸化イットリウム-酸化チタン系複合絶縁層薄膜作製技術をベースとして、本年度は、極薄ガラスシートを基板材料として採用するシースルーフレキシブル酸化物蛍光体薄膜EL デバイスの実現を目指す。具体的には、第一段階として開発した各種酸化物蛍光体薄膜を極薄ガラスシート上に積層する成膜技術を確立する。第二段階としては上記で確立した成膜技術をベースとして、極薄ガラスシート上への形成 図3 フレキシブルガラスに最も適合する新規な蛍光体母体材料及び発光中心材料を開発する 2) 極薄ガラスシート上に形成した酸化物蛍光体薄膜発光層のポストアニーリングは、極薄ガラスシートの融点からの制約から約650℃以下であることが要求される。したがって、成膜時点(熱処理前)での結晶性を極力高めるために基板温度、成膜雰囲気等の最適化を実施する。その後、各種蛍光体薄膜に対して各種雰囲気下で約650℃以下での熱処理で発光特性を十分に改善するため、熱処理時間や、昇温及び降温レート等の熱処理プロセスの極薄ガラスシートへの適合化を実施する。 3) ジルコニア系セラミックス及び極薄ガラスシートをそれぞれ基板材料として作製したセラミックスフレキシブル薄膜EL デバイス及びシースルー薄膜EL デバイスに対して、各種雰囲気中での耐熱試験を実施することにより、本デバイスの耐熱安定性を評価し実用化への検証を行う。 4)これまでに確立した成膜技術を現有する大型マグネトロンスパッタ装置に適用して、大面積フレキシブル酸化物薄膜EL デバイスを試作する。具体的にはA4 サイズのEL ディスプレイもしくはEL ランプの作製技術を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、上記研究計画に基づき、消耗品費を中心に研究費を使用する予定である。また、成果発表のため旅費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)