2013 Fiscal Year Annual Research Report
多次元フォトニック結晶構造を有する反強磁性結合体の超高速空間光変調素子への応用
Project/Area Number |
23560429
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Research Institution | 秋田県産業技術センター |
Principal Investigator |
山根 治起 秋田県産業技術センター, その他部局等, 研究員 (80370237)
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Keywords | 先端機能デバイス / 光変調素子 / 磁気光学効果 / フォトニック結晶 / 反強磁性結合 / 垂直磁化膜 |
Research Abstract |
本研究課題では、反強磁性結合を有する垂直磁化積層膜に対して、1次元周期の積層構造と2次元周期の微細加工とを組み合わせることで、ナノレベルの多次元の磁性フォトニック結晶を実現することを目標としている。その成果は、可視光に対して実用的な光変調性能と超高速動作とを合わせ持つ、革新的な空間光変調素子の実現につながるものである。 本年度は、反強磁性結合を有する垂直磁化膜に対して、2次元周期構造の付与が磁気物性に与える影響について詳細な検討を行った。その結果、反強磁性結合体を構成する上部磁性層のみへ微細加工を施すことで、膜構造に起因した特徴的な磁化反転過程が観測できることなどが分かり、学術論文として報告した。また、2次元周期のナノホール構造では、微細加工による磁気特性の変化も少なく、磁性フォトニック結晶への応用に有用であることも分かったので、実際に3次元の磁性フォトニック結晶の作製を試みた。反強磁性結合を有する垂直磁化膜と、光干渉用の誘電体層から構成された積層構造体に対して、2次元周期のホールアレイ加工を行った。測定光の1/2波長の光学膜厚に相当する光干渉層を有する積層構造体では、ホールアレイ加工によって磁気光学性能の向上を見出すことができ、学術論文として報告した。本現象は、磁気光学効果の非相反性によって説明することが可能であり、現在、磁化配列状態との関係などについて引き続き検討中である。さらに、本研究課題で見出した[CoPt/ZnO/Ag]積層膜に対して、新たな取り組みを行い、ナノ構造に起因すると思われる磁気光学特性を観測し、次年度の科研費事業に応募した。 なお、本研究課題では、空間光変調素子の作製までには至らなかったが、光変調素子として必要な大きな磁気光学性能は実現できているので、駆動方式あるいは素子構造などデバイス開発に係る検討を、引き続き実施していく予定である。
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Research Products
(4 results)