2012 Fiscal Year Research-status Report
次世代高速無線システムのための小型高性能アンテナ技術に関する研究
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23560432
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 学 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (20301939)
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Keywords | アンテナ / MIMO技術 / UWB技術 |
Research Abstract |
本研究の目的は,MIMO技術およびUWB技術を利用した高速無線伝送方式に適用可能な小型アンテナ技術を開発・提供することにより,次世代高速無線システムの実用化・飛躍的発展に資するところにある.今年度は,MIMO用小型高性能アンテナの基本技術に関する検討を行い,以下の成果を得た. (1) MIMO用小型アンテナシステムを構成するための小型アンテナ素子として,前年度において開発された葉状ボウタイ型の広帯域ダイポールアンテナ及び広帯域スロットアンテナを採用し,MIMO用小型アンテナシステムを模擬した基本モデルを構築した. (2)上記(1)の基本モデルにおいて,葉状ボウタイ型の広帯域ダイポールアンテナと,葉状ボウタイ型の広帯域スロットアンテナを組み合わせることで,アンテナ素子間の相互干渉を抑えつつアンテナ素子間隔の最小化が可能であることを,FDTD法による数値シミュレーションにより明らかにした. (3)上記(2)で述べた葉状ボウタイ型の広帯域ダイポール及びスロットアンテナを用いて構成されたMIMO用小型アンテナのための給電回路として,テーパ状マイクロストリップ線路からなる平面型給電回路を開発した. (4)上記(2)および(3)で開発したMIMO用小型アンテナをマッシュルーム型EBG基板上に配置した場合について,EBG基板の構造を最適化することにより,単一指向性化することが可能であることを明らかにした. (5)上記(2)~(4)で開発したMIMO用小型アンテナを試作し,その諸特性の測定を行うとともに,試作アンテナ系を用いた伝搬測定を行い,その結果を適宜フィードバックすることにより,MIMO用広帯域小型アンテナの基本構成法を確立した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していたMIMO用小型アンテナシステムの開発および基本構成法の確立に成功した.本成果は,次年度において計画している,MIMO技術とUWB技術が併用される場合にも対応可能な超広帯域MIMO用小型アンテナの開発に資する成果であり,以上のことから,おおむね順調に進展していると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で得られた成果に基づき,次年度は,MIMO技術とUWB技術が併用される場合にも対応するために,本年度において開発されたアンテナシステムのための超広帯域化技術を開発する.具体的な手順としては,先ず,本年度において開発した小型MIMOアンテナのための放射素子につき, UWB用周波数として日本国内で認可されている3.4~10.25GHzにおいて,放射パターンの形状,反射・伝送特性が可能な限り一様となるように,アンテナ素子形状の最適化を数値シミュレーションにより行う.ただし,現状では,4.8GHz~7.25GHzの周波数帯での UWBの運用が認められていないことから,この周波数帯における放射レベルを抑制するための付加的な構造についても検討を進める.次に,最適化されたアンテナ素子を2組用いた無線伝送系について,FDTD法による時間領域解析を行う.これにより,群遅延特性の観点から放射素子・給電系の最適化を行う.最適化後の超広帯域小型アンテナ素子を複数(3素子以上)用いたアンテナ系について,上述と同様の手順を踏むことで,UWB用周波数における最適化を行い,MIMO-UWB併用時に適用可能な,小型アンテナシステムの超広帯域化技術を確立する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
経費の節減および効率的使用の結果により生じた使用残について,次年度において,成果発表のための旅費・学会参加費用等として有効に使用する.
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Research Products
(7 results)