2011 Fiscal Year Research-status Report
パイロット信号が不要なスパース通信路推定法の開発とその応用
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23560434
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
宮嶋 照行 茨城大学, 工学部, 准教授 (00261743)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 通信路推定 / 信号処理 / 無線通信 |
Research Abstract |
本研究では,パイロット信号を用いずにスパース通信路を推定する手法を開発し,移動無線通信における高速伝送へ応用することを目的としている.本年度は,(1)OFDM伝送におけるスパース通信路の推定,(2)シングルキャリア伝送のためのスパース通信路推定について検討した. (1)について,まずOFDM信号の持つサイクリックプリフィックスを利用して,パイロット信号を用いずに非ゼロタップを検出する方法を考案した.購入機器を用いたシミュレーションによりその性能評価を行い有効性を明らかにした.さらに,検出結果を用いたブラインド通信路推定について検討し,推定すべきタップ数が減るため,通信路推定性能が大幅に向上し,通信路が既知の場合とほぼ同等のビット誤り率特性が得られることを確認した.この成果について,国際会議を含む学会発表と学術論文誌への投稿を行った.OFDMは高速無線通信のための標準的な方式であり,今回の成果により,スパース通信路における高速伝送の可能性が示されたことと,MIMO-OFDMへの適用への道筋が得られたことは意義深いと考えられる. (2)について,MPアルゴリズムに基づく非ゼロタップ検出法を新たに提案し,その結果を利用する通信路推定法について検討した.シミュレーションにより提案法の動作を確認した.この成果について国内学会で発表した.現在,提案法の問題を克服するために新しい非ゼロタップ検出法を検討しているところである.今回の検討成果をさらに発展させ,パイロット信号の有効利用も可能にすることで,移動通信環境も含むシングルキャリア伝送による高速伝送の可能性を拓こうとする点に意義があると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,「研究実績の概要」で述べた研究目的を達成するために,(1)L1ノルムを利用する通信路推定法,(2)OFDMのための通信路推定法,(3)MIMO-OFDMへの適用,(4)少数のパイロット信号の利用,(5)時変通信路への対応を検討する計画である.本年度は,(2)を中心に検討を行い,(1)に関連する事柄についても検討を加えた. (2)のOFDM伝送におけるスパース通信路の推定について,パイロット信号を用いずに非ゼロタップを検出する方法を提案し,その検出結果を用いたブラインド通信路推定について検討した.シミュレーションにより性能評価を行い,優れた誤り率特性が得られることを明らかにした.これらの成果について国際会議を含む学会発表と学術論文誌への投稿を行った. (1)のL1ノルムを用いる推定法に関連して,シングルキャリア伝送のためのスパース通信路推定について検討した.従来のL2ノルムによるブラインド通信路推定手法をスパース通信路に適用すると,通信路長が未知の場合に性能が大きく劣化することをシミュレーションにより確認した.MPアルゴリズムに基づく非ゼロタップ検出法を提案し,その動作確認の結果を学会で発表した.現在は,提案法の問題を克服するための基礎的アイデアを整理し,新しい手法を検討しているところである.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度:まずシングルキャリア伝送のための手法について詳細な検討を行う.ブラインド非ゼロタップ検出法を新たに考案する.この検出結果を利用するブラインド通信路推定法を考案する.従来手法との比較を中心に,提案手法の性能評価を行う.次に,L1ノルム最小化による通信路推定について詳細な検討を行う.L2ノルム最小化との違いを明確にした後,セミブラインド手法を考案し,さらにOFDM方式への拡張を考案し,その性能評価を行う.次に,MIMO-OFDM方式について検討する.通信システムの数式モデル化を行う.これまでに提案した方法の拡張可能性について検討する.性能評価は購入機器を用いたシミュレーションにより行う. 平成25年度:移動環境に適用可能な通信路推定法について詳細な検討を行う.時変スパース通信路のモデル化を行い,それに基づくMIMO-OFDM方式の数式モデルを導出し,これまでに検討した方法の拡張を検討し,その性能を購入機器を用いたシミュレーションにより評価する.最後に,本研究全体の総括を行う.複数の手法の等号や改良等の発展的な検討,および今後の課題を整理する. 全研究期間を通じて,研究会等に参加し情報収集を行うとともに,上記の検討により得られた成果を国内外の学会で発表する.最終的な成果をまとめて学術論文誌へ投稿する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に購入したソフトウェアを引き続き利用するために保守更新を行う必要がある.学会へ積極的に参加して調査および成果発表を行うために,旅費と学会参加登録料が必要である.また論文を積極的に投稿するために,英文校閲費と論文別刷代が必要である.
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