2012 Fiscal Year Research-status Report
単一伝送路を適用したRFIDによる低コスト・スマートシェルフの実現
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23560435
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
武田 茂樹 茨城大学, 工学部, 准教授 (50323209)
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Keywords | RFID / アンテナ / 書籍 / 本棚 |
Research Abstract |
本年度は,単一伝送路を用いた書籍読み取り実験を実施した.まず,システム全体について実施例を作成した,これまでの特性評価により,すべての段の書籍を一本の伝送路を折り曲げて棚全体に敷設する場合,すべての書籍を読み取るのに必要な電力が供給できない状況が確認された.そこで,それぞれの段に個別に伝送路を敷設し,これに読み取り装置を順次接続することにより読み取る方法を提案し,この提案に基づきシステムを構築した.伝送線路の長さと整合特性に関する解析を実施した.また,金属製の本棚を模擬して,本棚一段の解析モデルを作成し,電磁界解析環境を構築した.また読み取り特性を電磁界解析により解析した.まず,1本のタグの読み取り特性や線路からの距離特性などを把握した.金属棚の背面板の影響は大きいことが明らかになった.背面板が存在する方が,単一伝送路からの読み取り距離は長くなることを明らかにした.その後,複数タグ同時読み取り時の各タグの受信電力特性を明らかにした.単一伝送路の特徴は先端を解放していることである.このため電流が先端で反射し,単一伝送路上に電流の定在波が発生する.これによりデッドスポットの発生が危惧された.しかし,電力解析の結果,電界の低い場所においても,受信電力が十分に確保できることを明らかにした.最後に電波暗室内で,各タグへの供給電力に関する実験を行った,厚さ1cm程度のファイルを複数用いて実験を行った.その結果,良好に読み取れることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,書籍がRFIDタグの読み取りに与える影響について明らかにした.複数タグの同時読み取りを行う場合,読み取り距離が自由空間に対して半分程度まで低下することを明らかにし,またこれは,アンテナ利得が書籍中では5dB程度低下することに起因することを示した.またこのアンテナ利得の低下は,本の損失と指向性のゆがみが原因であることを明らかにした,これにより,本がアンテナに与える影響を明確にした.これはスマートシェルフを実現する上での基本特性となる. 一方,本年度は,単一伝送路の特性を明らかにした,設計方法や,金属製の棚の影響を明らかにし,実施例も含め提案した.また単一伝送路を用いて書籍の同時読み取りが可能であることを電波暗室内での実験から明らかにした. 以上,理由により,順調に研究が実施されていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,書籍を構成する紙とアンテナの影響をさらに詳しく明らかにする.これまでの解析により,書籍中にアンテナを埋め込む場合,紙の損失や指向性ゆがみの影響で読み取り特性が劣化することを明らかにしてきた.本年度は,紙の複素誘電率を測定することによりまず本の電磁界中での特性を取得し,この影響を考慮した電磁界解析と実験を実施する.指向性のゆがみは紙と空気の境界面での反射と透過に起因すると考えられ,これを把握することにより指向性形成原理を理解しやすくなると考えられる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
複素誘電率の測定費用 学会発表 RFIDシステムの購入など
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