2013 Fiscal Year Annual Research Report
単一伝送路を適用したRFIDによる低コスト・スマートシェルフの実現
Project/Area Number |
23560435
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
武田 茂樹 茨城大学, 工学部, 教授 (50323209)
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Keywords | RFID / アンテナ / 書籍 / 本 |
Research Abstract |
前年度までに行った単一伝送路による書籍読み取り特性評価のために準備として、RFIDタグが書籍に埋め込まれた場合のアンテナ指向性変化について研究を行った。前年度までに、書籍の背表紙に埋め込まれRFIDタグの読み取りにおいて、背表紙方向(正面方向と定義する)のアンテナ利得が半波長ダイポールアンテナ利得に対して約5dB低下することが確認された。さらに、アンテナ指向性が半波長ダイポールアンテナの指向性に対して大きく変化することが明らかになり、さらに書籍が大きな損失媒体であることが予想された。そこで本年度は、書籍を構成する紙の複素誘電率を精密に測定し、電磁界解析の一つであるFDTD法による解析を行った。またその結果を検証するために、書籍に測定用の標準ダイポールアンテナを埋め込んで指向性を測定した。その結果、紙の複素誘電率として、εrが3.142、tanδが0.123と共に大きいことが明らかになった。特にtanδが大きく、これが損失要因となり、アンテナ利得の低下を引き起こしていることが明らかになった。また、FDTD解析と実験結果から得られた指向性はよく一致していることが確認できた。さらに、実験結果との比較により、FDTD解析が十分な解析精度を有することが確認できた。従って、FDTD解析により、さらに詳細な書籍埋め込み時の指向性解析を行った。RFIDタグを用いた書籍管理において想定されるRFIDタグ埋め込み位置や冊数の変化に対してどのように指向性が変化するかを明らかにした。さらに、指向性形成原理を明らかにするために、電磁界解析の一つであるレイトレース法を利用して、指向性解析を行った。媒質定数としては、先に述べた実測に基づく複素誘電率を設定した。その結果、書籍境界面での反射や透過を考慮することで、指向性形成のメカニズムが理解できることを明らかにし、冊数変化時のRFIDタグの読み取り特性を予測できることを明らかにした。
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