2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560436
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
羽鳥 好律 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (20361769)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 映像信号高能率符号化 / 非因果的符号化 / 並列符号化 / 変換符号化 / ハイブリッド符号化 / 内挿予測 |
Research Abstract |
H.264(MPEG-AVC)は,現在最も高い符号化効率を実現できる映像符号化標準方式と認めらており,ワンセグ放送やブルーレイディスクの符号化等のために広く用いられている.しかし近年,超高精細映像等への適用を可能とする,より高能率な符号化方式を求める声が高まって来た.本研究においては,従来の枠組みを超えた新しい符号化要素技術に関連した知見の獲得・公表を行うことを研究期間内の目的としている. 具体的には,1.[符号器構成の簡易化]:8Kテレビ等の,将来の超高精細映像信号までを対象可能とする符号化方式を実現するための並列符号化方式の研究を基本課題とする.2.[符号化能率の向上]:並列符号化方式の試みにおいては,現在用いられているブロック単位の逐次直列処理を用いている標準符号化方式(H.264等)に比べて,符号化能率が劣るものしか実現しえていないとの認識が大勢である.並列符号化で,従来方式を凌ぐ高い符号化性能が実現できることを示す. 平成23年度における第1の課題として,フレーム内符号化提案方式の改善を行なった.事前の検討においてまだ尽くされていなかった, a)直交変換(DCT,DST,DWT等)の違いによる能率比較,b)並列符号化方式に適した適応符号化制御方式の検討,をおこなった.本課題項目に関しては,既存の国際標準方式の中でも最高水準の画質を実現するH.264 High Complexity Mode技術を用いた符号化装置よりも,対象画像によっては約6dBの画質改善が実現可能であることを示した. さらに第2の課題項目として,フレーム間動き補償予測符号化(Pフレーム符号化)への提案方式の拡張を検討し,この課題に関しても,従来方式に比べ約2dB 程度の効率向上が図れるとの見通しが得られた. これらの結果についてまとめ,論文投稿及び研究発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度実施予定項目に関しては,ほぼ作業を完了し,研究の成果として当初の期待を上回るレベルでの提案方式の有効性を確認できた.また,一部,次年度の項目の検討に取り掛かることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
効率的に研究費の使用ができた.論文投稿料の支払いが,次年度に変更となった. 今後の課題として,フレーム間動き補償予測符号化(Pフレーム符号化)の,機能向上を先ず検討する.構成上は従来のフレーム内符号化方式の高能率性・並列性を保ちながら,シーンチェンジやアンカバードバックグラウンドの出現に対して耐性を有するフレーム間動き補償予測方式の完成度を高め,特に変換符号化の見地から見た新規の符号化処理機能の付与の実現可能性を追求する. さらに,H.264等の既存の国際標準方式においては、既に符号化されたフレーム(Iピクチャ、Pピクチャ)の画素値を用い,間に存在する複数のフレーム(Bピクチャフレーム郡)の画面の値を因果的内挿予測という手段で予測している.今回提案している非因果的内挿予測をこの様なBピクチャの予測のために適用できれば、必ず直近のフレーム中の画素の値を用いて予測を行なうことが可能と成る.予測効率の大幅な向上、及びI・Pフレーム間隔の拡大やシーンチェンジやアンカバードバックグラウンドの出現に対しても耐性のあるBピクチャ符号化方式の実現可能性を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に,新規開発したアルゴリズムを計算機上での動作シミュレーション実験により評価を行う予定なので,そのためのPC環境の整備を行う.また,学会発表を予定しているので,そのための投稿料,参加費,旅費分の支出を想定している.また,実験遂行支援のための謝金の支出を予定している.
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