2012 Fiscal Year Research-status Report
安心・安全のためのマルチアンテナセンシング関する研究
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23560442
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山田 寛喜 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20251788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 芳雄 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50115086)
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Keywords | MIMO / 伝搬チャネル / 変動センサ / アレーアンテナ / 位置推定 / 電波センサ |
Research Abstract |
今年度は,昨年度,理論解析を行ったMIMOチャネル相関を用いた変動検出アルゴリズムの検出特性,特にチャネル相関係数の確率密度関数,SNR, 変動電力量に対する変化を明らかにし,さらにこれらを用いた誤警報確率,すなわち検出精度の定量的な解析を行い,実際の部屋の電波伝搬シミュレーション解析結果を用いた検出確率マップの生成方法を明らかにした.これにより,様々なアンテナ配置(MIMO構成)に対する検出性能変化の定量的な解析が可能となった.いつくかの代表的なアンテナ配置に関する解析を行い,どのようなレイアウトが効果的であるかを明らかにした. さらに,理論的に導出したチャネル相関係数の確率密度関数に対する検証実験を行った.この理論値の導出においては,チャネル行列の要素がレイリー分布となることを仮定している.いうまでもなく,屋内伝搬では,多数のマルチパスがあるものの見通し伝搬であり,この仮定の成否に関しては,実験による検証が不可欠であった.大学講義室での2x4 MIMO伝搬実験を行い,導出した理論値の確率密度関数が,実験結果と非常に良好に一致することを確認した.さらに,計算機シミュレーションにより,仲上ライス分布となった場合の確率密度関数および誤警報確率を算出し,同一SNR,変動電力時には,検出性能が向上する,すなわちレイリー分布を仮定した理論式による指標は,変動検出性能の批評としては最悪値評価,すなわちファイルセーフであることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度,基本的な理論構築を終えたMIMOチャネル相関を用いた変動検出理論に対して, 構築された実験系による屋内変動検出実験を行い,その理論式,具体的にはレイリーモデルに基づき導出したチャネル相関係数の確率密度関数が,実験結果とほぼ一致することを確認した.これにより,検出確率の評価に関しては,シミュレーションではなく,理論式による解析が可能となり,レイトレース法などの電波伝搬シミュレーションと組み合わせた効率的な変動検出性能の定量評価が可能となった.これは,具体的な検出性能の議論が可能となることを意味しており,従来の電波センサの性能評価における最大の問題点を解決したものと考えている. その結果を踏まえて,与えられた屋内,アンテナ配置での検出性能マップの作成手順を明確化し,様々なアンテナ配置での検出性能評価を行い,マルチパスの生成,検出に有効なアンテナ配置のガイドラインを示した.この項目が申請時想定していた24年度の主要検討項目である. 現在,生活活動の変動解析,モーションセンシングに発展させるべく,ドップラ検出に着目した変動検出アルゴリズムの拡張,さらには電波利用の効率化・省電力化を図るべく,既存の無線LANなどの信号を送信波源としたパッシブなシステムを含めた検討に取り掛かっている. このように,見守りシステムへの発展を踏まえた研究に向かって順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
MIMOチャネル相関を利用した電波センサの理論および定量的評価方法は,ほぼ確立できたものと考えている.そこで,今年度は,様々な実験を通して,変動検出,すなわち変動の有無だけではなく,変動の様子・質に着目したモーションセンシングに発展させ,人間生活を見守る電波センサという分野を創出したいと考えている.実際の利用では,他のセンサとの組み合わせであるセンサフィージョンシステムとしての運用となるものと想定している.特に,電波センサの役割として,映像のようにプライバシー問題にかかわることなく,かつ,電波の性質を利用した広域のドップラセンシング(変動量検出)により,人間生活の様々な「モーション」の場所と動きの大きさ,向きの推定ができるものと期待している.さまざまな利用状況を想定した実験を行い,アルゴリズムおよびシステム最適化を進める予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,実際の屋内での実験の実施も念頭に入れた,さらに実証実験重視の検討を進める.従って,研究費は,アンテナ材料や治具,およびコネクタやケーブルなどのマイクロ波部品といった消耗品での利用に加え,研究成果の積極的な発表を予定している.そのため,研究費の一部は,論文および,国際会議,研究会,全国大会などの学術集会で発表するための旅費として使用する予定である.
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Research Products
(10 results)