2011 Fiscal Year Research-status Report
線形符号に対する汎用復号アルゴリズムの構築に関する研究
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23560444
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Research Institution | Kagawa National College of Technology |
Principal Investigator |
正本 利行 香川高等専門学校, 通信ネットワーク工学科, 准教授 (10242455)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Sum-Product Algorithm / 畳み込み符号 / ブロック符号 |
Research Abstract |
線形符号のクラスに対する高速高性能な汎用復号アルゴリズムの構築を研究目的として、研究を実施した。平成23年度の計画として、1.畳み込み符号のSum-Product Algorithmによる復号特性改善理論の構築、2.畳み込み符号とブロック符号に対する汎用復号アルゴリズムの構築の実施を予定していた。1.に関して、Sum-Product Algorithmによる復号で用いるパリティ検査多項式から特性を求める理論を構築し、シミュレーションとの比較を行った。3つの符号について理論とシミュレーションとの対応を調べて見たところ、いずれも、対応関係がみられた(対応の程度は、符号によって異なる)。よって、構築した理論により、ある程度、特性改善が説明できることがわかった。この成果は、まだ発表していない。1'.パンクチャド畳み込み符号をSum-Product Algorithmによって復号する方法についての研究を行った。これは当初の実施計画には、あげていない。しかし、この符号は、通信規格(無線LANなどの)によく用いられていることと、研究目的の一つである汎用性の観点から、この研究を実施することにした。パンクチャド畳み込み符号をSum-Product Algorithmによって、復号するには、パンクチャビットを1ビットだけ含むパリティ検査多項式を用いれば良いことを明かにし、そのようなパリティ検査多項式の探索方法を提案した。また、Sum-Product Algorithmの繰り返し1回目とそれ以降で用いるパリティ検査多項式を変える方法を提案した。提案法によって、大幅な特性改善が得られた。この成果は、INTECHの書籍"Wireless LAN"に掲載が決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
線形符号のクラスに対する高速高性能な汎用復号アルゴリズムを構築することを目的とし、23年度は、(1)畳み込み符号のSum-Product Alogrithmによる復号特性改善理論の構築と(2)畳み込み符号とブロック符号に対する汎用復号アルゴリズムの構築を計画していた。(1)については、Sum-Product Alogrithmに用いるパリティ検査式から、特性を求める理論を構築し、シミュレーションとの対応関係が得られることを確認している。これに関しては、当初の計画どおりに進んでいる。次に当初の計画では、(2)の研究を進める予定であったが、その代わりに、パンクチャド畳み込み符号をSum-Product Algorithmによって復号する方法についての研究を行った。これについては、どのようなパリティ検査式を用いればよいかを明かにし、そのパリティ検査式の探索方法も提案した。また、複数のパリティ検査式を切り替えて復号する方法も提案して、大幅な特性改善が得られることを確認し、その成果の発表も行っている。これは、当初の計画以上の成果ではあるが、当初予定していた(2)が進んでいないことを差し引き、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 畳み込み符号とブロック符号に対する汎用復号アルゴリズムの構築:汎用的なアルゴリズムを目指し、畳み込み符号とブロック符号を包括した復号アルゴリズムの構築を図る。事前の検討から、ブロック符号のアプローチのほうが、畳み込み符号に対するものよりも良いと考えられる。そこで、ブロック符号のアプローチを畳み込み符号に適用する形で、汎用的なアルゴリズムの構築を図る。畳み込み符号は、ブロック符号とは異なり、符号長を自由に変えることができるという特徴がある。そこで符号長を可変できるようにし、更にブロック符号のアプローチを適用したい。その方法として、重なりを許容するスライディングウインドウを使って、畳み込み符号を短いブロック毎に区切って処理を行う方法を検討する。こうすることによって、適当な長さのブロック符号とみなすことができ、ブロック符号と同じ方法が適用できる。このようにして、畳み込み符号とブロック符号を包括した汎用復号アルゴリズムを構築する。(2) 連接符号化/繰り返し復号系への拡張:これまで畳み込み符号、BCH符号、RS符号それぞれに対するSum-Product Algorithm (SPA)による復号特性を改善することはできたが、これらを要素符号とする連接符号化/繰り返し復号系に対して、提案したSPA復号特性改善方法では、期待したほどの改善が得られていない。これは、SPA復号の軟出力の大きさが不適切であるためと考えられる。従って、大きさに何らかの補正を行うことによって特性の改善が得られると期待される。そこで、専用アルゴリズムで得られた軟値の大きさとSPAの軟値の大きさを比較し、適切な補正方法を構築する。それを取り入れて、連接符号化/繰り返し復号系にも対応した汎用復号アルゴリズムを構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の遂行にあたり,理論検討も行うが,全て実験による検証を伴っているため,Sum-Product Algorithm (SPA) による復号,および比較対象となる従来の各符号専用の復号実験のために多くの多くの計算機が必要であると考えている.これに対して,現在,利用可能なパーソナルコンピュータ(PC)は8台である.しかも,3人で共有して利用しているため,一人当たり平均2.5台程度しか利用できない.現状でも研究を進めることは可能であるが,申請期間内に十分な成果をあげるためには,計算機の増強が必要と考えている.SPAを高速に実行するためには,並列計算が有効である.そのため並列計算可能な計算機環境を新規に購入する計画である.また,シミュレーションプログラムの開発には,C言語,または,C++を用いているが,これは,通常メモリの領域違反をチェックすることが難しい.最悪の場合,コンパイルでエラーがなくても,メモリ領域違反のため,実行結果が違っていることも起こり得る.そこで,メモリ領域違反チェックの機能をもつソフトウェアの購入を計画している.また,研究発表費としての使用も計画している.
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Research Products
(1 results)