2012 Fiscal Year Research-status Report
線形符号に対する汎用復号アルゴリズムの構築に関する研究
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23560444
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Research Institution | Kagawa National College of Technology |
Principal Investigator |
正本 利行 香川高等専門学校, 通信ネットワーク工学科, 准教授 (10242455)
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Keywords | Sum-Product Algorithm / BCH符号 / Accumulate符号 / 直列連接符号 |
Research Abstract |
線形符号のクラスに対する高速高性能な汎用復号アルゴリズムの構築を研究目的として、研究を実施した。平成24年度は、(1) 畳み込み符号とブロック符号に対する汎用復号アルゴリズムの構築、(2) 連接符号化/繰り返し復号系への拡張を予定していた。このうち、(2)を優先して取り組んだ。連接符号としては、BCH符号とAccumulate符号による直列連接符号を取りあげた。(2-1)パリティ検査行列を複数連接して用いる方法により、Sum-Product Algorithm の復号特性改善を図った。このれは、連接符号でない場合には、0.4dB程度の特性改善が得られた方法である。しかし、連接符号の場合には、0.1dB程度の改善であった。この成果は、未発表である。(2-2)復号結果に応じて、適応的にスケーリングを変えることにより、Sum-Product Algorithm の復号特性改善を図った。これは、誤った復号結果の信頼度を抑圧することを目的に考えた方法である。復号結果が誤っているかどうかは、正確に判断することはできない。そこで、内復号器と外復号器の復号結果の一致/不一致により、信頼度の抑圧を判断するという方法をとった。これにより、0.1dB程度、特性の改善が得られた。この成果は、未発表である。(2-3)Sum-Product Algorithm の中で、チェックノードからの復号結果の一致/不一致の割合に応じて、重み付けを行う方法を考案した。これにより、EXITチャートの改善が得られることがわかった。しかし、復号実験を行ったところ、復号特性の改善は得られなかった。この成果は、未発表である。また、前年度、検討した成果を 第35回情報理論とその応用シンポジウム において発表した。前年度、掲載予定だった論文が INTECHの書籍"Wireless LAN"に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
線形符号のクラスに対する高速高性能な汎用復号アルゴリズムを構築することを目的とし、24年度は、(1) 畳み込み符号とブロック符号に対する汎用復号アルゴリズムの構築、(2) 連接符号化/繰り返し復号系への拡張を予定していた。このうち、(2)を優先して取り組んだ。連接符号としては、BCH符号とAccumulate符号による直列連接符号を取りあげた。特性改善方法を3つ検討した。その中の2つの方法で、特性の改善が得られた。その2つの方法をあわせて用いると、0.2[dB]の改善が得られる。しかし、連接符号でない場合の特性は、Chaseアルゴリズムと同程度まで改善できたのに対して、連接符号の場合、Chaseアルゴリズムとの差が0.5[dB]程度となった。特性改善は得られたものの、期待したほどの改善は得られなかった。また、(2)を優先して取り組んだため、(1)については、検討が進められなかった。従って、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 連接符号化/繰り返し復号系への拡張:24年度の検討で、特性改善は、得られたものの、期待したほどの改善は得られなかったので、引き続き、特性改善の検討を行う。Sum-Product Algorithm (SPA) の軟値の分布とChase Algorithmの軟値の分布を比較してみると、SPAの軟値の分布は、その大きさが小さいところに集中していることがわかった。そこで、軟値の大きさを大きくすることを考える。方法として、以下の2つのアプローチを考えている。一つは、アルゴリズムの改良である。これは、軟値の計算方法に変更を加えることで、軟値が小さい値に集中することを避けるアプローチである。もう一つは、パリティ検査行列の改良である。これは、アルゴリズムの変更は行わず、復号に用いるパリティ検査行列の改良により、軟値が小さい値に集中することを避けるアプローチである。また、この2つのアプローチを組み合わせて用いることも検討する。 (2) 畳み込み符号とブロック符号に対する汎用復号アルゴリズムの構築:24年度に検討を予定していたが、できなかったので、検討を進める。汎用的なアルゴリズムを目指し、畳み込み符号とブロック符号を包括した復号アルゴリズムの構築を図る。事前の検討から、ブロック符号のアプローチのほうが、畳み込み符号に対するものよりも良いと考えられる。そこで、ブロック符号のアプローチを畳み込み符号に適用する形で、汎用的なアルゴリズムの構築を図る。その方法として、重なりを許容するスライディングウインドウを使って、畳み込み符号を短いブロック毎に区切って処理を行う方法を検討する。こうすることによって、適当な長さのブロック符号とみなすことができ、ブロック符号と同じ方法が適用できる。このようにして、畳み込み符号とブロック符号を包括した汎用復号アルゴリズムを構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の遂行にあたり,理論検討も行うが,全て実験による検証を伴っているため,Sum-Product Algorithm (SPA) による復号,および比較対象となる従来の各符号専用の復号実験のために多く の多くの計算機が必要であると考えている.これに対して,現在,利用可能なパーソナルコンピュータ(PC)は15台である.しかし、この内5台は、購入後3年が経過しており、更新が必要と考えている.SPAを高速に実行するためには,並列計算が有効である.そのため並列計算可能な計算機環境を新規に購入する計画である.また,未発表の研究成果があるので、研究発表費としての使用も計画している.
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Research Products
(2 results)