2011 Fiscal Year Research-status Report
狭トラックHDDにおけるクロストーク対応信号処理方式
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23560457
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岡本 好弘 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20224082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲村 泰明 愛媛大学, 理工学研究科, 講師 (50380259)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | HDD / 信号処理 / 狭トラック / クロストーク / 瓦記録 |
Research Abstract |
本研究は、情報ストレージ装置の中核をなすハードディスク装置(HDD:Hard disk drive)において、高い信頼性を維持して情報を高密度に記録するための信号処理方式を開発することを目的としており、記録密度の向上に伴って狭トラック化が進み、隣接するトラックからのクロストークが性能劣化の要因となることが必至である。そこで本研究では、クロストークに対応できる信号処理方式を考案し、記録媒体の構造と記録・再生ヘッドの感度を考慮したシミュレータと現行HDD の記録再生系を現有のスピンスタンド・テスタに適用した記録再生実験の両面から性能評価を行うことで良好な性能を示す信号処理方式を見出すことを目的としている。離散ボロノイセルモデルを用いて媒体のグレインサイズ、非磁性領域の幅、粒子間結合を設定できるグラニュラ媒体モデル、二次元の記録磁界勾配を持つ記録ヘッド、トレーリングシールドに加えてサイドシールドを有する再生ヘッドの感度関数からなる記録再生シミュレーションを行えるシミュレータを構築した。そして、隣接トラックからのクロストークがLDPC符号を用いた繰り返し復号の性能に大きな影響を与えることが明らかとなった。一方、現有のスピンスタンドを用いて記録再生実験を行い、上記の記録再生シミュレーションで得られた記録・再生波形の比較を行った。その結果、実際の記録密度は低いが、離散ボロノイセルモデルを用いた記録再生シミュレーションにおける記録再生特性と同様の特性を、スピンスタンドを用いた記録再生実験によって実現できることが明らかとなった。また、スピンスタンドを用いて、狭トラック記録を実現するための瓦記録を行えることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
離散ボロノイセルモデルによるグラニュラ媒体のモデル化と記録過程・再生過程のモデル化が順調に進み、計算機シミュレーションによる記録再生実験を行って信号処理方式の検討が可能な状態となった。また、現有のスピンスタンドに記録再生ヘッドおよび2.5インチディスクを取り付けて記録再生実験を行い、シミュレーションと記録再生実験を合わせて検討できる環境が立ち上がった。さらにシミュレーション実験および記録再実験で得られた再生波形に対して繰り返し復号などの信号処理方式の検討が可能であることを確認したため。
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Strategy for Future Research Activity |
離散ボロノイセルモデルによるグラニュラ媒体のモデル化と記録過程・再生過程のモデル化して構築した記録再生シミュレータとスピンスタンドによる実機での記録再生実験を行うことにより、狭トラックHDDの実現において重要となるクロストークキャンセラおよびクロストークを含めた信号推定の検討を精力的に進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
記録再生シミュレータによる記録再生シミュレーション実験を効率的に実施するため、昨年度購入したワークステーションに加えて新たにワークステーションとソフトウェアを購入する。また、これらの実験を行うために学生を雇用するための人件費として充当する。そして、本研究で得られた成果を学会等で発表するための旅費に当てる予定である。
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