2012 Fiscal Year Research-status Report
狭トラックHDDにおけるクロストーク対応信号処理方式
Project/Area Number |
23560457
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岡本 好弘 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20224082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲村 泰明 愛媛大学, 理工学研究科, 講師 (50380259)
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Keywords | シングル磁気記録(SMR) / 2次元磁気記録(TDMR) / ニューロ等化器 / ITIキャンセラ / LDPC符号 / ターボ等化 |
Research Abstract |
ハードディスク装置の高密度化のために,トラック間にガードバンド設けない記録方式としてシングル(瓦)記録が有望視されている。しかし,シングル記録では記録したトラックに対して次のトラック位置をトラックピッチの分だけシフトさせながらオーバーライトすることで記録ヘッド幅に比べて幅の狭いトラックをバードバンドなしに形成することができる。ところが,再生ヘッドの再生感度が媒体上のトラック幅よりも広くなると隣接するトラックに記録された情報を再生してしまい,所望のトラックに対する再生特性が著しく劣化することが想定される。 そこで,離散Voronoi図を用いて媒体上の磁性粒子の配列を模擬し,磁性粒子間の交換結合,記録ヘッドからの記録磁界,磁性粒子からの反磁界等を考慮した記録過程のモデル化とトレーリング及びサイドシールドを持つMRヘッドの再生感度と磁性粒子の磁化分布の畳込みによる再生モデルからグラニュラ媒体に対するシングル磁気記録再生モデルを構築した。 そして,LDPC(低密度パリティ検査)符号化・繰り返し復号に及ぼす影響を明らかにするとともに,2次元線形等化,2次元ニューロ等化器,ITI(トラック間干渉)キャンセラが有効であることを明らかにした。 また,LDPC符号化・復号化方式の利得向上のためにNon-binary LDPC符号やターボ等化の導入について検討した。さらに,上述の記録再生系モデルを用いて記録時に発生するITIや隣接トラックの記録系列によるNLTS(非線形ビットシフト)について検討し,NLTSについては影響は小さいものの,シングル記録特有の記録ITIが発生することを確認し,その影響の一部を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラニュラ媒体に対するSMRを検討するための記録再生系のモデル化およびその改良については,離散Voronoi図を用いて垂直磁気記録媒体のグラニュラ構造を実現してそれぞれの磁性粒子に磁気特性を与え,磁気ヘッドから受ける磁界,磁性粒子間の磁気的相互作用磁界,磁性粒子間の交換相互作用磁界,自己反磁界等を考慮して磁性粒子の反転条件を定める記録過程と狭トラックの再生には必須と考えられるトレーリング・サイドシールド付MRヘッドの再生過程による記録再生系モデルを構築したこと。また,この記録再生系モデルを用いて記録再生シミュレーションを行い,想定される記録再生特性が得られ,信号処理方式の検討に必要な,任意の記録系列に対する再生波形が得られたことから,記録再生系モデルの構築についてはほぼ目標を達成できたと考えられる。 また,このモデルを用いて,SMRで発生が予想された種々の現象を確認でき,再生ITI(クロストーク)については発生及びその影響を低減することが可能な信号処理方式の候補を得ることができた。さらに,SMRシミュレーションにより,記録時に発生するITIは,記録系列によっては予想以上に大きくなることが明らかとなり,SMRによる狭トラックHDDを実現するためには,これに対する信号処理方式の検討が必要となった。このように,SMRによるトラック記録における諸問題とそれに対する信号処理の候補も一部得られたことから,今のところ順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
再生ITI(クロストーク)の影響を低減するための信号処理の候補として,ITIキャンセラ,ニューロキャンセラ,2次元等化などが得られた。また,Non-binary LDPC符号は,Binary LDPC符号に比べて復号は複雑になるものの高利得を得られることもあきらかとなったが,隣接トラック間でインタラクティブな繰り返し復号については今後検討する予定である。さらに,記録ITIについては,隣接トラック,所望トラックにおける記録系列によっては影響が大きいことから,これらに対応する信号処理方式について記録再生シミュレーション実験を繰り返し行い,有効な信号処理方式を見出す予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
記録再生シミュレーション実験を繰り返し実施し,有効な記録再生信号処理方式を明らかにする予定であることから,実験補助に対する謝金,有効な方式の調査や得られた成果報告のための旅費に使用する予定である。
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Research Products
(15 results)