2013 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者音声を明瞭化する音声処理インタフェースに関する研究
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23560459
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
中藤 良久 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10599955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水町 光徳 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90380740)
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Keywords | 高齢者音声 / 明瞭化 / データベース / 音声処理 / インタフェース |
Research Abstract |
(実績1) 平成25年度は、口の大きさや舌の位置に関係するフォルマントと高齢者音声の明瞭性との関係を明らかにした。具体的には、各フォルマント(F1、F2)ごとに時間的に隣接した母音間の差分値(F1距離、F2距離)を新たに定義し、明瞭性の低い高齢者音声と高い高齢者音声との比較を行った。その結果、/a/⇔母音の連鎖ではF1距離の値に大きな違いがあるのに対して、/o/⇔/e/、/i/⇔/u/といった連鎖ではF1距離の値の違いが小さいことが明らかになった。これは、/a/は母音の中で最も口を大きく開いて発声するため動作が大きいが、/o/⇔/e/、/i/⇔/u/は発声の際の口の大きさが比較的小さく、動作が小さいためだと考えられる。同様にF2距離の値の違いと発声の際の舌の位置との間に密接な関係があることが明らかになった。 (実績2) 実績1で得たフォルマントと高齢者音声の明瞭性との関係を基に、フォルマントを補正することで明瞭性を改善する方法を検討した。具体的には、明瞭性の高い高齢者音声数名と評価対象話者の平均フォルマント周波数の差分(補正値)をあらかじめ求めておき、評価対象話者のフォルマント周波数の値に足し合わせることで行う。作成した補正音声の明瞭性改善度合いを一対比較法によって評価した結果、口や舌を大きく動かす母音を含む単語では改善効果が顕著に現れ、一方口や舌を比較的動かさない単語では明瞭性の改善が小さいことが明らかとなった。これは実験1の解析結果と一致する内容であり、フォルマント補正の有効性を示している。 (実績3) 実績2のフォルマント補正による明瞭度変換システムを音声フリーソフトPraatをベースにWindowsPC上に構築し、プロトタイプとしての実装と動作確認を完了した。また、一対比較法の評価をリアルタイムに行う評価システムの実装もWindowsPC上に構築し、実際の評価を完了した。
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