2011 Fiscal Year Research-status Report
地上ディジタルテレビ放送波を用いたヒト検知システムの実用化に関する研究
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23560464
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
西 正博 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (30316137)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ヒト検知 / 地デジ / 検知確率 / 高性能化 |
Research Abstract |
平成23年度には地上ディジタル放送波の測定を開始した.本測定では,これまで検討を行ってきた受信レベルのみならず,新たに取得可能となった地上ディジタル放送波のBERやCNRの測定も同時に行った.受信レベルの測定にはこれまで使用実績のある広帯域受信機を用い,BERやCNRの測定には各値を記録可能な市販の地デジチューナを利用した.また各受信機はADコンバータやUSBケーブルを介してPCに接続した.これにより,新たに受信レベルのみならず,CNRやBERもあわせて同時にヒトの有無をモニターするマルチプルディテクションを実現することができた.このマルチプルディテクションの適用により,SFN環境下の特に複数局からの放送波が同程度の電界強度にて受信され,受信レベルがヒトの動きにかかわらず変動しにくくなる状況においても,高精度に屋内のヒトを検知できることを明らかにした. また,屋内にのみにアンテナを設置する従来のヒト検知システムでは,屋外に通行車両等が存在した場合,屋内のアンテナでの受信レベルも変動することがあり,ヒトがいない場合にもかかわらずヒトがいると判定してしまう誤検知の可能性があった.そこで本年度では,誤検知を回避することを目的として,各アンテナの受信レベル変動を同時にモニターする協調検知手法も新たに検討した.実測データに基づき,屋外要因における伝搬の変化の場合,屋内のみならず屋外のアンテナでの受信レベル変動が生じることを確認できた.一方,屋内のヒトによる影響の場合,屋外での受信レベルは変動しないことも確認した.また屋内および屋外アンテナを協調してモニターしたところ,屋内のヒトをほぼ100%検知でき,なおかつ,屋外の外乱の影響による誤検知をほぼ0%に低減できることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究の目的」には,これまで申請者らが提案してきたテレビ放送波を用いたヒト検知システムを長期安定稼働する場合における課題を解決し,ロバストネスの高い検知システムの実用化を目指すことを記載していた.そして,ロバストネスの高いシステムに向けて大きく以下の2つの課題を挙げていた.一つはテレビ放送のディジタル化に伴い,SFNが導入され,アナログ方式時とは電波伝搬状況が異なってきており,受信レベルのみでは高性能化が難しいという問題であった.またもう一つはテレビ放送波を用いるため,例えば屋外の車やヒトの動きにより伝搬変動が生じ,屋内のヒトの動きと誤って判定する誤検知が生じる問題であった. まずSFN化に伴う受信レベルのみでは高性能化が難しい問題に対しては,CNRおよびBERを測定できるシステムを新たに構築し,マルチプルディテクションの有効性を確認できたこと.また屋外の車やヒトなどの外乱に対しては,屋外にもアンテナを設置する協調検知システムを提案し,誤検知の低減効果を確認できた.これにより,研究の目的に対する現在の達成度は,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には,前年度に引き続き,マルチプルディテクションの手法や協調検知手法の検討を継続する.特に長期に測定を継続することにより,長期運用時の問題点を整理し,その解決手法を検討する.マルチプルディテクションの検討では,BERおよびCNRの長期変動特性の把握が重要であり,変動特性を考慮した検知アルゴリズムの検討を行う.また協調検知手法では,長期に外乱の影響を定量化することが可能となり,より誤検知を低減する手法を実測データより構築することを試みる.さらに前年度に検討した検知アルゴリズムをPC上に実装してシステム開発を始める.高い汎用性を考慮して,市販の地デジチューナにヒト検知機能を付加したシステムを開発する.システム開発キットをPCにインストールして,リアルタイムにデータを解析して高精度な検知情報を出力するソフトウェアの開発を行う.また,開発したソフトウェアをノートPCやタッチパネル式端末などに実装することも試みる. 平成25年度では,これまでに開発してきたヒト検知システムを実環境にて性能評価する予定である.検知情報を発信して,設置者に転送するために,システムをネットワーク化する.この場合,設置場所を柔軟に変更可能とするため,現在最も普及している3G無線通信回線の利用を計画している.実環境にて長期に運用することで検知確率,誤検知確率,稼働率を定量的に評価する.実環境評価時の設置場所としては,木造一戸建て一室,鉄筋コンクリート造マンション一室,および比較的広い屋内環境を想定して本学体育館の計3か所を計画中である.発信情報として,検知アラームの他,WEBカメラ等で撮影した室内の画像情報(静止画もしくは動画)も併せて送信できるようにし,ネットワーク負荷と画像品質の両面を考慮した情報発信方法も検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究推進方策にも述べたように,次年度の平成24年度には,特に検知アルゴリズムをPC上に実装してシステム開発を始める予定であり,高い汎用性を考慮して,市販の地デジチューナにヒト検知機能を付加したシステムを開発することを計画している.そのため,実装環境である計算機や,地デジチューナと検知システムの開発環境などを整備する必要がある.さらに開発するヒト検知システムの比較対象として,カメラや赤外線,音などの他の様々なセンシングシステムの実装も検討しており,必要な物品購入に研究費を使用する計画である. また,得られた成果は,タイムリーに国際会議や国内の学会・学術論文誌にて発表を行う予定であり,またデモ展示の機会があれば積極的に参加する予定である.これらの旅費や論文掲載料等にも研究費を使用する計画である.
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Research Products
(3 results)